契約解除後はどうなる?原状回復義務と解除の遡及効果の制限

事例1
楽器店のAはメーカーのBからギターを納入した。しかし、期限が到来したにもかかわらずAが一向に代金を支払わないので、BはAに対し相当の期間を定めて催告をした上で、売買契約を解除した。


 さて、この事例1で、Bは契約を解除しましたが、その後は何ができるのでしょうか?ギターの返還請求?損害賠償の請求?まずは条文をご覧下さい。

(解除の効果)
民法545条
1項 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
2項 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
3項 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。

 太字になっている部分が、Bができることです。
 相手方を原状に復させる義務とは、原状回復義務のことで「元の状態に戻さなければならない」ということです。つまり、BはAに「ギターを返せ」と請求できます(返還請求)。一方、AはBにギターを返す義務(返還義務)を負います。
 損害賠償の請求を妨げないとは、損害賠償の請求もできるということです。
 従いまして、事例1で、メーカーのBは楽器店のAに対し、ギターの返還請求損害賠償の請求ができる、ということになります。

直接効果説

 解除の効果は遡及します。すなわち、さかのぼってナシになります。したがって、事例1では、Aにはギターの返還義務(元の状態に戻す義務←原状回復義務)が生じ、同時にBはギターの返還請求権(元に戻せ!と請求する権利)を得ます。そして、この論理を直接効果説といいます。他にも間接効果説、折衷説という考えも存在しますが、裁判所は直接効果説の立場を取ります。ですので、この「直接効果説」という考え方を、覚えて頂ければと存じます。

解除の遡及効果の制限

 契約を解除すると、その効果は遡及するので(直接効果説)、原状回復義務が生じます。しかし!条文には、このようなただし書きがありました。
「ただし、第三者の権利を害することはできない」
 これはどういうことなのか?まずはこちらの事例をご覧下さい。

事例2
楽器店のAはメーカーのBからギターを納入した。しかし、期限が到来したにもかかわらずAは一向に代金を支払わない。その後、AはCにそのギターを転売した。その後、BはAに対し相当の期間を定めて催告をした上で、売買契約を解除した。


 この事例2では、Bはギターの返還請求ができない可能性があります。なぜなら、Bの解除権の効果は第三者であるCの権利を害することができないからです。したがって、結論を申し上げると、Cがギターの引渡しを受けていたらBはギターの返還請求ができません。逆に、Cへの引渡しがまだされていなければ、Bは返還請求ができます。
 このように、解除の遡及効果は、第三者との関係で一定の制限が加えられています。これも利益衡量と取引の安全性から来るものです。この「解除の遡及効果の制限」は大事なポイントなので、是非覚えておいて下さい。尚、試験などでは、不動産の転売という形で問われることになると思いますが、不動産での場合については、また改めてご説明申し上げます。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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