簡易の引渡し・占有移転・占有改定 占有権の移転 

 占有権は、自分の物だと思って物を所持(事実上の支配状態)することによって取得します。

(占有権の取得)
民法180条
占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する。

占有は、物を所持する事実状態をいいます。ですので、実は、自分の物だと言い張れば泥棒にも占有権はあります。ちょっとビックリですよね。ただ、あくまで占有権止まりです。さすがに本権(所有権)までは取得できません。本権を持った人間に「返せ」と言われれば、それは当然返さなければなりません。この本権をもって物の返還を要求する権利を、本権(所有権)に基づく返還請求権といいます。この用語は覚えておいて下さい。
 話を占有に戻します。それでは、占有権はどのように移転するのでしょうか?それについては、次の条文に規定されています。

(現実の引渡し及び簡易の引渡し)
民法182条
占有権の譲渡は、占有物の引渡しによってする。

 譲渡は移転と同じ意味です。つまり、占有権は物の引渡しによって移転します。これは所有権と一緒ですね。しかし!実は占有権の移転には、現実に物を引き渡さなくても生じるケースが三つあります。
1・簡易の引渡し
2・指図による占有移転
3・占有改定
 ひとつひとつ見ていきます。

1・簡易の引渡し
 元々預けておいた物を相手にそのまま売ってしまうケース。
 例えば、AがBにスピーカーを預けていて、AがそのスピーカーをそのままBに売ってしまうようなこと。
2・指図による占有移転
 倉庫業者に預けている物を○○さんの承諾の上で、倉庫業者に対し「以後○○さんのために占有しろ」と命じるケース。
 例えば、Aが倉庫業者に預けてあるスピーカーを、Bに承諾の上で、Aが倉庫業者に対し「以後Bのためにそのスピーカーを占有してくれ」と命じること。
3・占有改定
 占有者が、今後は○○さんのためにこの物を所持すると意思表示したケース。
 例えば、Aが「今後このスピーカーはBのために所持する」と意思表示すること。

 上記1、2、3のいずれの方法でも、占有権が移転します。上記説明中の例えで言うなら、1、2、3のいずれもスピーカーの占有権がAからBに移転します。

三つの方法には重要な違いがある

 実は、簡易の引き渡し、指図による占有移転、占有改定には重要な違いがあります。それは、即時取得が成立するかどうかです。即時取得が成立するかどうかということは、占有権が本権に昇格し、所有権を取得できるかどうかということです。これは大きな違いですよね。その違いはこうです。
簡易の引き渡し→即時取得◯
指図による占有移転→即時取得◯
占有改定→即時取得×

 簡易の引き渡しと指図による占有移転は即時取得可能ですが、占有改定には即時取得が認められません。これは裁判所がそういう結論を出しています。つまり、判例でそうなっているという事です。その詳細は割愛しますが、この、即時取得ができるかどうかの違いはとても大事なので、しっかり覚えておいて頂ければと存じます。

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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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