盗品の所有権はどうなる?

事例
Aは100万円で買ったヴィンテージギターを持っている。ある日、BはA宅に侵入しそのギターを盗み出した。そしてBはそのギターを自分の物だと偽り、そのことについて善意無過失で信じたCに売り渡した。その後、Bは行方をくらまし消息が掴めない。


 何だかいきなり不穏な事例から始まりましたが、この事例で、ギターの所有権を取得できるのは一体誰でしょう?Aが勝つのか?はたまたCに即時取得が認められるのか?
 この問題については、次の条文が適用されます。

(盗品又は遺失物の回復)
民法193条
前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。

 上記の条文の占有物とは、今回の事例のギターになり、そのギターはBによって盗まれたものなので「盗品又は遺失物」に当てはまります。
 それでは結論を申し上げます。Aはギターを盗まれた時から2年間は、Cから無償でギターを取り戻せます。Cが善意無過失であろうと関係ありません。無償というのはタダということです。つまり、相手が善意無過失だろうが盗まれた時から2年間はタダで取り戻せます。

帰責事由の有無 

 今回の結論は、ギターが盗品だから、というのもあるかと思いますが、実はそれよりも、帰責性が関係しています。前回の記事で扱った事例では、Aにも帰責性アリとし、Aには厳しい結果が待っていました。しかし、今回の事例では、かなりA寄りの結論です。それはなぜか?それは、今回の事例では、Aには帰責性ナシと民法は考えるからです。つまり、Aはなんの落ち度もないただの被害者なのです。そうなると、利益衡量の観点から、なんにも悪くない被害者のAを勝たせるのが妥当だ!取引の安全性よりもAを保護するのが妥当だ!という結論になるのです。

補足2点
・横領
 もし、今回の事例で、Bの盗みではなくAからBへの横領の場合は、なんと、Cの即時取得が成立します。なぜなら、横領の場合、AはBに自ら手渡しているはずだからです。よって、Aにも帰責性アリとなり、Cの即時取得が成立します。
・2年間の起算点の注意点
 盗まれた時から2年間は無償で取り戻せる、と申しましたが、この2年間の起算点はどこなのでしょう?これは、実際に盗まれた時になります。「盗まれたことを知った時」ではありませんのでご注意下さい。ですので、今回の事例のAの保護は厚いものになっておりますが、Aがボサッとしていて2年間が過ぎてしまうと、Cの勝ちになってしまいます。
 民法は、いつまでも権利関係を曖昧にしておくことを好ましく思いません。いつまでもそのような問題を扱っていたら、裁判所もごった返して困ってしまいます。ですので、あらかじめ画一的に期間を設けて、その期間が過ぎてしまったら恨みっこナシでいきましょう、としているのです。従いまして、もし何か皆さんのまわりで法的なトラブルが起こったら、ボヤボヤせずにできるだけ早く行動して対処しましょう。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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