動機の錯誤による無効

動機の錯誤でも無効が主張できるときとは?
 前回の記事でもご説明いたしましたが、動機の錯誤による無効の主張は原則認められません。しかし、あくまで原則認められないだけで、例外が存在します。※
※法律について考えるとき、原則から考えて例外を考えるという順序をとった方が理解がしやすいと思います。いっぺんに考えようとすると訳がわからなくなってしまいますので。あくまで原則があった上で例外があります。その逆はありません。

動機の錯誤が主張できるとき

 では、どんな例外パターンがあるのでしょうか。動機の錯誤の無効が主張できるケースとして、「動機が表示され、それを相手が認識しているとき」に、無効を主張できる場合があります。これではわかりづらいですよね。もう少し噛み砕いてご説明いたしますと、売買契約の場合「買う理由となる動機が言葉なり相手にわかるように表現されていて相手がその動機をわかっていたとき」動機の錯誤が主張できる可能性があります。

動機の錯誤が主張できるときの具体例

 例えば、こんな場合です。ある土地を購入したAさんがいます。Aさんがなぜその土地を購入したかというと、その土地のすぐ近くに、数年後に駅が建つという話を耳にしたからです。しかしその後、駅ができるという話はデマで、Aさんは目算を誤った、つまり、動機の錯誤に陥った...。
 このようなケースでは、原則、錯誤による無効は主張できません。それは前回もご説明したとおり、ただのAさんの判断ミスだからです。しかし、ある要件を満たすと、Aさんの動機の錯誤による無効が主張できる場合があります。それはどういった場合かといいますと、Aさんの「この土地のすぐ近くには数年後に駅が建つ」という動機が言葉なり表に出されていて、そのAさんの動機を相手が認識していてかつ相手はその土地のすぐ近くに駅が建つという話がデマだと知っていたのにもかかわらずそれをAさんに教えなかったときに、Aさんは動機の錯誤による無効の主張ができます。
 尚、Aさんの動機が相手にわかるといっても、たとえAさんが動機を口に出していなくても、Aさんの動機が明らかに見てとれていたならば(法律的にいうと黙示に表示されていたならば)、そのときもAさんは、動機の錯誤による無効の主張ができます。

 以上、動機の錯誤について簡単にまとめますと、
「表意者の動機が間違っていて、その動機が間違っていることを相手が知っていて、その動機が間違っていることを相手が教えてあげなかったとき、表意者は動機の錯誤の無効を主張できる」
となります。つまり、表意者の動機が間違っているのに気づいていたなら相手は表意者に教えてやれ!てハナシです。

 動機の錯誤の無効の主張について、おわかりになりましたか?じゃあこの場合は?あの場合は?色々あると思います。
 最後に付け加えて申し上げておきますと、実際には、要素の錯誤と動機の錯誤のラインというのは、ハッキリ引ける訳ではありません。現実には微妙な事例がいくつも存在します。そこで参考にするのは過去の裁判の判例になるのですが、いずれにせよ、現実には事案ごとに、個別具体的に判断するしかないかと思います。ですので、今回ご説明申し上げたことは、あくまで民法上の基本的な考え方になりますので、その点を踏まえた上で、頭に入れておいて頂ければと存じます。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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