要素の錯誤による無効

錯誤による無効とは

 錯誤を理由に、契約の無効を主張することができます。例えば、ギターだと思ってベースを買ってしまった場合、その契約(ギターを買ったこと)の無効を主張できます。つまり、その契約を無かったことにできるのです。そして当然、買ったベースは店に返して払ったお金を返してもらいます。

(錯誤)
民法95条
意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

 上記の条文に「法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする」とあります。この「法律行為の要素に錯誤」というのが、以前の記事でもご説明申し上げた要素の錯誤になります。つまり、条文から導き出される結論は「要素の錯誤であれば無効を主張できる」という事になります。

表意者の重大な過失とは

 ここで注意点がございます。「〜無効とする」の後にただし書きがあり「表意者に重大な過失があったときは〜無効を主張することができない」とあります。ちなみに表意者というのは錯誤をした本人です。つまりこれはどういうことかと申しますと、要素の錯誤無効を主張できる。しかし、錯誤をした本人重大な過失(大きなミス)があった場合は無効を主張することができない、という意味です。先述の例でご説明いたしますと、ギターだと思ってベースを買ってしまった場合、楽器初心者だったなら無効を主張しやすくなるでしょう。なぜなら、初心者ならどっちがギターかベースか、すぐに区別のつかない人もいるでしょう。つまり、本人(表意者)の重大な過失と認められづらくなるからです。ところが、これがギター歴40年のオヤジだったらどうですか。普通それだけギターやってるオヤジなら、ギターとベースの区別ぐらいすぐにつくに決まっているでしょう。たとえ悪徳楽器店だったとしても騙されないでしょう。つまり、もしギター歴40年のオヤジがギターとベースを間違えて購入してしまった場合は、表意者(ギター歴40年のオヤジ)に重大な過失があると判断されやすくなり、錯誤の無効の主張が難しくなります。
 じゃあギター歴5年の兄ちゃんはどうなの?
 これも多分ダメですね(笑)。ただ、法律で明確に規定している訳ではないので、あくまで常識的な、客観的な判断になります。裁判になれば「社会通念上なんちゃらかんちゃら」とか言われるのでしょうか。ただもし、例えば、ギターと本当に見分けのつかないようなベースがあって、店員の説明が不十分であれば、その場合は重大な過失について、また違った判断になるかもしれません(まあ、そもそも試奏したのかとか、他にも考慮しなければならない要素は色々とありますが...)。
 そして、要素の錯誤無効を主張するのは原則本人でなければなりません。

 とにかく、ここでまず、押さえておいて頂きたいことをまとめますと、
「要素の錯誤は無効を主張できる。そのとき、無効を主張するのはあくまで本人で、もし本人に大きなミスがあった場合は泣き寝入り」
ということです。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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