代位弁済について

法定代位と任意代位

 民法では「弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する」と規定されています。これは「弁済による代位」のことですが、どういうことかというと、保証人・物上保証人等が主債務者に代わって弁済をすれば、債権者に属する担保権等の権利は保証人・物上保証人等に移転するということです。もっと噛み砕いて言うと、保証人・物上保証人等が主債務者に代わって弁済をすれば、その後は保証人・物上保証人等が債権者に代わる(代位する)ということです。そしてこれは、そういう状況になれば法律上当然に適用される、法定代位です。
 一方、法定代位に対して、任意代位というものもあります。
 先ほど「弁済をするについて正当な利益を有する者」というフレーズが出てきました。これはわかりやすく言ってしまえば、保証人や物上保証人のことです。つまり、保証人や物上保証人が弁済した場合に法定代位の問題になるのです。では「弁済をするについて正当な利益を有しない者」が弁済した場合はどうなるのでしょうか?
「弁済をするについて正当な利益を有する者」が保証人や物上保証人を指すということは「弁済をするについて正当な利益を有しない者」とは、保証人や物上保証人以外の者ということになります。したがって「弁済をするについて正当な利益を有しない者」が弁済した場合とは、保証人や物上保証人以外の者が弁済した場合というこです。具体例を挙げると、保証人でもない親が子供の借金を肩代わりしたような場合です。これが任意弁済です。
 ではこの場合、保証人や物上保証人が弁済したときと同じように、債権者に属する担保権等の権利は親に移転するのでしょうか?この場合にも弁済による代位は生じます。つまり、債権者に属する担保権等の権利は親に移転します。ただし、そのためには次の2つの要件を満たす必要があります。

1・債権者の同意
2・対抗要件としての債権者から債務者(子)への通知または債務者の承諾

 つまり、親が子供の借金を肩代わりした場合に弁済による代位が生じるには、親が債務者(子)の借金を肩代わりすることを債権者が同意して、そのことを債権者から債務者(子)へ通知または債務者(子)が承諾することが必要ということです。
 以上が法定代位と任意代位です。

補足・主債務者1人に対して「弁済による代位者」となるべきものが複数いる場合

 いずれの者が弁済しても、弁済者は主債務者に対して全額の求償ができます。しかし、主債務者が無資力の場合もあります。そして、その場合のルールはあらかじめ定められています。では、どういうルールに基づき弁済者は債権者に代位(債権者に代わって債権者の権利を行使)するのでしょうか?

1・保証人と第三取得者のケース
※第三取得者とは、抵当権が設定された後にその不動産を取得した者
・保証人が弁済した場合
 この場合、保証人は第三取得者に対して代位できます。ただし、そのためには弁済後第三取得者が登場する前に保証人名義の抵当権等の移転登記を受けることが必要です(弁済当時に存在する第三取得者との関係では登記不要)。
・第三取得者が弁済した場合
 この場合、第三取得者は保証人に対して代位できません。そもそも、第三取得者は抵当付きの不動産を安く買い叩いているはずなので、代位の必要性はないと考えられます。

2・第三取得者と第三取得者のケース
・第三取得者の1人が弁済した場合
 各不動産の価格に応じて、弁済した第三取得者は他の第三取得者に対して代位します。例えば、1000万円の甲土地を取得したA、2000万円の乙土地を取得したBがいて、債権額1500万円の抵当権が、甲土地(負担額500万円)、乙土地(負担額1000万円)に設定されていたとします。そしてAが1500万円全額弁済した場合、AはBに対して1000万円(甲土地の価格)の限度で乙土地の抵当権に代位できます。

3・物上保証人と物上保証人のケース
・物上保証人の1人が弁済した場合
 各不動産の価格に応じて、弁済した物上保証人は他の物上保証人に対して代位します。考え方は前述の2のケースと同じです。

4・保証人と物上保証人のケース
・保証人と物上保証人のいずれかが弁済した場合
 頭数に応じて代位します。

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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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