後順位賃借権者と抵当権者の同意

 賃借権は登記をすることができますが、抵当権よりも後に登記された場合、抵当権者に対抗することができません。しかし、すべての抵当権者が同意し、その同意の登記をすれば、その賃借権を抵当権に対抗できるものにすることができます。すべての抵当権者とは、その不動産について抵当権を設定しているすべての抵当権者です。3番抵当権まで設定していれば、1番抵当権者から3番抵当権者までの抵当権者全員ということです。つまり、抵当権よりも後に登記された賃借権でも、抵当権者全員の同意の登記があれば、抵当権に対抗できる賃借権にすることができるということです。
 なぜそんなことができるの?
 これは、抵当権が設定されている賃貸物件の入居を躊躇させないためです。例えば、すでに抵当権が設定されている高額な賃料のビルに法人が入居するようなケースを考えてみて下さい。入居する側の法人としては、高額賃料を取られた上で、いつ立ち退きになるかわからないような状況では、本部機能の移転等がしづらくなりますよね。しかし、賃借権に抵当権への対抗力を持たせることができれば、その懸念を払拭することができます。

 以下に、抵当権に遅れた賃借権に対抗力を持たせるための要件をまとめます。

1・賃借権が登記されていること
2・その不動産についてのすべての抵当権者の同意があること
3・同意の登記をすること

 以上になります。
 1の「賃借権が登記されていること」ですが、建物の引渡しだけでは足りません。登記が必須です。賃借人の賃貸人に対する対抗要件は建物の引渡しがあればOKですが、それとは違います。ご注意下さい。
 2の「その不動産についてのすべての抵当権者の同意があること」ですが、過半数が同意しても、1人でも反対する者がいればダメです。抵当権者全員の同意が必須です。
 3の「同意の登記をすること」ですが、抵当権者全員の同意があっても、それだけではまだ足りません。「全員の同意がありますよ」ということを登記して初めて対抗力を持つことになります。なぜ登記までしなければいけないかといいますと、その旨の登記をしないと、競売時の買受人がそのような事情を知る術がないからです。

 このように、3つの要件を満たすことにより、抵当権に遅れる賃借権に対抗力を持たせることが可能です。
 ただ、これは中々に高いハードルだと言えます。というのも、内容的には抵当権者が不利になる内容ですから。それを抵当権者全員が同意して登記まで認めてくれないといけないわけですから。また、もし抵当権者が同意することにより不利益を受ける者がいる場合は、その者の承諾も必要になります。つまり、抵当権者が5人いて、その5人が同意することにより不利益を受ける者が10人いたとすると、合計15人がこの件について納得しなければならない事になります。
 このように考えていくと、ハードルが高いという意味がよくわかって頂けるのではないしょうか。

参考
(抵当権者の同意の登記がある場合の賃貸借の対抗力)
民法387条
1項 登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。
2項 抵当権者が前項の同意をするには、その抵当権を目的とする権利を有する者その他抵当権者の同意によって不利益を受けるべき者の承諾を得なければならない。

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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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