2番抵当権が絡んだときの法定地上権①

 ひとつの不動産に複数の抵当権を設定することもできます。その場合、「1番抵当権」「2番抵当権」というように、各抵当権には順位が付きます。順位が付くということは、順位が高い抵当権ほど優先的に被担保債権の弁済を受けられます。
 尚、順位は付きますが、1番抵当権よりも先に2番抵当権を実行することは可能です。ただし、2番抵当権が先に実行されても、優先的に被担保債権の弁済を受けるのは1番抵当権者です。どういうことかといいますと、例えば、3000万円の土地に1番抵当権、2番抵当権が設定されて、1番抵当権者の被担保債権の額が1000万円、2番抵当権者の被担保債権の額が500万円だったとします。この場合に、2番抵当権が先に実行されると、土地が競売にかけられ、その売却代金から2番抵当権者は被担保債権の弁済を受けますが、先に1番抵当権者の被担保債権1000万円の弁済に充ててから、残りの売却代金から2番抵当権者は被担保債権の弁済を受けます。つまり、2番抵当権が先に実行されても、先に被担保債権の弁済を受けるのは1番抵当権者になります。
 以上が、ひとつの不動産に複数の抵当権が設定できることについての簡単な説明になります。とりあえず、ここで頭に入れておいて頂きたいことは、ひとつの不動産に1番抵当権、2番抵当権と設定された場合に、先に2番抵当権を実行することもできるということです。そこを押さえて頂いた上で、それではここからは、不動産に1番抵当権、2番抵当権と設定されたケースでの、法定地上権の問題について考えて参りたいと思います。

事例1
A所有の甲土地上に、B所有の乙建物がある。Cは甲土地に1番抵当権を設定した。その後、AはBから乙建物を取得した。その後、Dが甲土地に2番抵当権を設定した。


 これは若干ややこしく感じる事例かもしれません。ですので、まずはこの事例1の状況を確認します。

B所有
 ⇩
乙建物
甲土地←1番抵当権(C)
 ⇧
A所有

その後、Aが乙建物を取得
Dが甲土地に2番抵当権を設定

A所有
 ⇩
乙建物
甲土地←1番抵当権(C)
 ⇧ ↖
A所有 2番抵当権(D)

 さて、ではこの事例1で、Cが1番抵当権を実行した場合、法定地上権は成立するでしょうか?
 法定地上権が成立するための要件は

1・抵当権設定時に土地上に建物が存在すること
2・抵当権設定時に土地と建物が同一の所有者に属すること
3・土地か建物のどちらか、または両方に抵当権がされること
4・所有者が競売により異なるに至ること

になります。ところが、事例1では、Cが甲土地に1番抵当権を設定した時、甲土地と乙建物の所有者は同一ではありませんので、2の要件「抵当権設定時に土地と建物が同一の所有者に属すること」を満たしていません。しかし、2番抵当権を設定した時は、甲土地と乙建物の所有者は同一になっています。
 結論。Cが1番抵当権を実行しても、法定地上権は成立しません。なぜなら、1番抵当権の設定した時には、甲土地と乙建物の所有者が異なるからです。たとえ2番抵当権が設定された時に土地と建物が同一の所有者となっていても、それは1番抵当権には関係ありません。
 尚、この事例1で、Dが2番抵当権を実行した場合は、法定地上権が成立します。なぜなら、2番抵当権を設定した時は、土地と建物の所有者が同一なので、法定地上権の成立要件を満たしているからです。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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