連帯債務 請求の絶対効 債務の承認の相対効

事例
BCDは連帯してAから150万円を借り受けた。やがて月日が経過し、AのBCDに対する貸金債権は、時効による消滅が迫っている。


 この事例のB・C・Dは連帯債務を負っています(連帯債務者)。連帯債務ということは、Aは連帯債務者のBCDひとりひとりに、150万円全額の弁済を請求できます。そして、そのAの貸金債権は、月日の経過で時効により消滅しそうになっている、というのがこの事例の内容です。
 さて、Aとしては、150万円の貸金債権が時効により消滅してしまっては困ります。そこで、時効を中断させるために、Aは債務の履行を請求しなければなりません。ではこのとき、AがBに対して債務の履行の請求をした場合、C・Dについての消滅時効はどうなるのでしょうか?
 結論。AがBに対して債務の履行を請求すれば、AB間についての消滅時効が中断するのはもちろん、AC間・AD間についての消滅時効も中断します(消滅時効と消滅時効の中断についてはこちらをご参照下さい)。

相対効と絶対効

 連帯債務において、債権者と連帯債務者ひとりひとりとの関係はそれぞれ別個独立したものです。ですので、例えば、事例のAB間の債権債務関係が錯誤などにより無効になっても、AC間とAD間の債権債務関係は有効のままで、何の影響もありません。このような効果を、相対効といいます。相対とはつまり「人によって違う」という意味です。すなわち、相対効とは「人によって効果が違う」ということです。そして、民法は連帯債務について、相対効の原則を取ります。ですので、連帯債務においての債権者と連帯債務者ひとりひとりとの関係はそれぞれ別個独立したものなのです。連帯債務者は、ひとりひとり別個独立した関係でありながら債務について連帯責任を負っている、と考えると理解しやすいかもしれません(これについて詳しくはこちらの記事をご覧下さい)。
 さて、そうなると、AがBに債務の履行を請求すると、AB間だけでなく、AC間・AD間の消滅時効も中断するのはおかしくね?となります。しかし、民法は「請求」については例外とします。つまり、請求については、相対効の原則を適用しないのです。そして、AがBに債務の履行を請求するとAB間のみならずAC間・AD間の消滅時効も中断する効果を、絶対効といいます。絶対とはつまり「人によって違わない」という意味です。すなわち、絶対効とは「人によって効果が違わない」ということです。したがって、請求の絶対効により、AがBに対して債務の履行を請求すれば、AB間の消滅時効が中断するだけでなく、AC間・AD間についての消滅時効も中断するのです。
 この請求の絶対効は、債権者にとってはとてもありがたい、債権者にとって有利な規定ですよね。

債務の承認の場合

 それでは今度は、3人の連帯債務者のうち、BだけがAに対して「債務の承認」をしたら、AC間・AD間の消滅時効はどうなるのでしょうか?
 消滅時効において、債権者に対して債務者が債務の承認をすると、消滅時効は中断します。したがって、BがAに対して債務の承認をすれば、AB間の消滅時効は当然に中断します。つまり、今ここで問題となるのは、「債務の承認」は相対効なのか絶対効なのか?です。
 結論。債務の承認相対効です。したがって、BがAに対して債務の承認をすると、AB間についての消滅時効だけが中断し、AC間・AD間の消滅時効は中断しません。ですので、もしAがそのまま放ったらかしていたら、C・Dの債務については時効により消滅してしまいます。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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