地役権の時効中断

 地役権は、時効取得することができます(これについて詳しくはこちらの記事へ)。
 そして、地役権を時効取得できるということは、当然「地役権の時効の中断」もあります。

事例1
AとBは甲土地を共有している。隣地に住むCは、AとBに地役権を時効取得されそうになったので、Bに対して時効中断の手続きをとった。


 この事例が、地役権の時効中断のケースです。
 さて、この事例で、CはBに対して地役権の時効中断の手続きをとりましたが、このとき、Aの地役権の取得時効は中断するのでしょうか?
 まずは、民法の条文を見てみましょう。

民法284条2項
共有者に対する時効の中断は、地役権を行使する各共有者に対してしなければ、その効力を生じない。

 民法では上記のように規定しています。この条文で言っていることは「共有者に対する地役権の時効の中断は、各共有者、つまり共有者全員に対してしなければ効力を生じない」ということです。
 従いまして、事例のCは、時効中断の手続きをBに対してしかしていないので、その効力は生じません。つまり、Bの地役権の取得時効は中断しません。Bの地役権の取得時効を中断させたいのであれば、Cは、AB両者に対して時効中断の手続きをとらなければならないのです。
 このような結論は「地役権の不可分性」そして「地役権が人ではなく土地に付着する性質」から来るものです(地役権の性質についてはこちらの記事へ)。その理屈はこうです。
「地役権は不可分な(分割できない)ものなので、各共有者の持分ごとに時効が中断したりしなかったりすることはない。そして地役権は土地に付着する土地自体に発生する権利なので、仮に持分ごとに時効が中断したとして、共有者の一人の持分だけ時効中断しても、他の共有者の持分の時効が進行すれば、その効力が土地全体に及ぶので、共有者の一人でも地役権を時効取得してしまえば、結局は土地全体の地役権を時効取得することになる。したがって、共有者の一人に対してだけ時効中断の手続きをしても意味がないのである」
 このようになります。

事例2
AとBは甲土地を共有し、隣地に通行地役権を設定している。しかし、その通行地役権が消滅時効にかかりそうになっているので、Bはその消滅時効を中断させた。


 さて、この事例2で、甲土地の共有者の一人であるBは、隣地の通行地役権の消滅時効を中断させましたが、その効果はAにも及ぶでしょうか?
 結論。その消滅時効の効果はAにも及びます。これも理屈は事例1のケースと一緒で「地役権は持分ごとに分割できない」という、地役権の不可分性から来るものです。したがって、共有者の一人が地役権の消滅時効を中断させれば、その効果は当然に他の共有者にも及びます。

補足・地役権の消滅時効の起算点

 民法では、地役権の消滅時効の起算点について、以下のように定めています。
・継続的でなく行使される地役権の場合
(地役権の)最後の行使の時
→通行地役権であれば(継続的に通行していたわけではない承役地を)最後に通行した時、ということ。
・継続的に行使される地役権
 その行使を妨げる事実が生じた時から
→これはどういうことかといいますと、継続的に隣地を通行のために利用(通行地役権)していたが、災害などで、その通路の幅4メートルのうち、1メートルが閉塞してしまったような場合、その閉塞した部分だけ時効により地役権が消滅した、というようなケースで(こういうケースもありえる!)、その部分が「閉塞した時」が消滅時効の起算点、ということです。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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