地役権の時効取得

 地役権は、自分の土地(要役地)の便益のために他人の土地(承役地)を利用する権利です。このときの自分が地役権者、他人が地役権設定者となります(地役権について詳しくはこちらの記事へ)。そして、地役権は時効取得をすることができます(時効制度について詳しくはこちらの記事へ)。

(地役権の時効取得)
民法283条
地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。

 上記の条文のように、地役権は「継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り」時効取得することができます。

「継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り」とは

 わかりやすく通行地役権で考えます。
 まず言葉のとおり解釈すると、「地役権が継続的に行使され」とは「時効取得する者が継続的にその土地を通行のために利用している」ということです。ただ判例では、それに加えて「時効取得する者自ら通路を開設したこと」が必要だとしています。つまり、(通行)地役権を時効取得するためには、自分でその通路を作っていないといけないのです。ということは、隣地の所有者のご好意で通行を認めてもらっていたような場合は、時効取得できないのです。そのような場合まで、法律的にがっちり「地役権の時効取得!」と認めるのはあんまり良くないんじゃね?というのが裁判所の判断です。確かにそうですよね。そのような場合に地役権の時効取得ができてしまったら、それによってお隣さんとの関係にひびが入りかねませんから。

 さて、ここからは事例とともに、地役権の時効取得について、さらに詳しく見ていきます。

事例
AとBは甲土地を共有している。Aは隣地の乙土地に通路を開設し、通行地役権を時効取得した。尚、Aは甲土地上の自宅に住んでいるが、Bは甲土地には居住していない。


 さて、この事例で、甲土地の共有者のBも、通行地役権を時効取得できるでしょうか?
 結論。Bも通行地役権を時効取得できます。
 Bは甲土地に居住していないのに?
 地役権は、人ではなく、土地に付着します。ですので、Aが時効取得した通行地役権は、Aではなく甲土地に付着します。言い方を変えると、Aが時効取得した通行地役権は、甲土地に発生します。甲土地自体に権利が発生したのだから、甲土地の共有者の1人であるBにもその効果は当然に及びます。Bが甲土地に居住しているかしていないか関係ありません。したがって、Aが時効取得した通行地役権を、Bも当然に時効取得するということです。

地役権の不可分性

 地役権は土地自体に発生するものであり、他の共有者が時効取得した地役権は、他の共有者も当然に時効取得します。これを、地役権の不可分性といいます。不可分とは、分割することができないという意味です。
 また、地役権の不可分性は、共有者の時効取得以外のケースにも表れます。それは共有者の1人がその持分を放棄するケースです。どういうことかといいますと、AとBが甲土地を共有していて、甲土地が地役権の要役地だった場合に、Bがその持分を放棄しても、甲土地全体の地役権には何の影響もありません。なぜなら、地役権には不可分性があるからです。つまり、地役権は持分ごとに分割できないので、共有者の1人がその持分を放棄しても、放棄された持分の分だけ地役権が消滅することはないのです。共有者が1人でも持分を持ち続けている限り、土地全体の地役権は生き残ります。したがって、Bがその持分を放棄しても、Aが甲土地の持分を持っていれば、甲土地全体の地役権は残存するのです。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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