共有物分割協議の解除 遺産分割協議の解除

共有物分割協議の解除

 共有物分割協議により共有関係は終了します。現物分割であれば、各共有者は分割された物の単独の所有者になります。
 ところで、もし共有物分割協議の内容に、当事者が意図しないような不公平が発生してしまった場合、一体どうなるのでしょうか?
 当事者が意図しないような不公平が発生した場合とは、例えば、共有物が土地で、その土地を各共有者ごと等分に分割したら、そのうちの一区画だけが地盤が弱くて、財産価値が他の区画よりも著しく劣ることが後から判明したようなケースです。
 そのようなケースで、財産価値が著しく劣る区画の所有者になってしまった者が「こんな分割協議はおかしい!この協議はナシだ!」と、分割協議を解除して、協議自体をなかったことにできるでしょうか?
 結論。共有物分割協議の解除は可能です。その根拠となる規定はこちらになります。

(分割における共有者の担保責任)
民法261条
各共有者は、他の共有者が分割によって取得した物について、売主と同じく、その持分に応じて担保の責任を負う。

 この条文だけだとわかりづらいかと思いますが、要するに、共有者は分割した物について「売主の担保責任」と同じ責任を負うということです。「売主の担保責任」は、売買した物について、場合によって買主から売主に対する損害賠償請求や代金減額請求や契約解除を認める規定です(売主の担保責任についてはこちらの記事をご参照下さい)。したがって、共有物分割協議の解除は可能なのです。

ただし!裁判により共有物の分割が行われた場合は、その解除はできません。裁判による判決を、一般私人の一方的な意思表示で「なかったこと」にできてしまったら、世の中の秩序が乱れておかしなことになってしまいますよね。そんなことは日本のような法治国家ではあり得ません。

遺産分割協議の解除

 共有物の分割に似た制度に、遺産分割があります(遺産分割についてはこちらの記事もご参照下さい)。そして遺産分割の場合も、遺産分割協議というものがあります。
 ちなみに、遺産分割協議の解除はできるのでしょうか?
 遺産分割協議後にもめそうなケースとしては、夫が亡くなり、相続人が妻と息子二人で、長男には母の介護を条件として多めの財産を与えていたのに、長男がその義務を果たさなかったような場合です。このような場合に、遺産分割協議を解除することができるのか?
 結論。遺産分割協議の解除はできません。なぜなら、それができてしまうと法的安定性が損なわれるからです。というのは、遺産分割は、特定の資産を分割する共有物分割よりも、分割する資産の規模がずっと大きいことの方が多いと思います。それだけ大きい資産となると、そこに絡む第三者の存在などの法律問題、そのややこしさも、特定の資産の共有物分割の比ではありません。ですので、遺産分割協議が解除されてなかったことになってしまうと、ややこしい法律問題が一気に噴出してしまうのです。それはまさしく、法的安定性を損なうことになります。したがって、遺産分割協議の解除はできないのです。
 尚、遺産分割協議の合意解除可能です。合意解除とは、相続人間で「この遺産分割協議はなかったことにしよう」とする新たな契約です。こういった形の解除であれば可能になります。

補足

 ある財産の分割が、共有物分割なのか遺産分割なのかを見極める基準として、両分割には以下の違いがあります。

共有物分割→地方裁判所の管轄
遺産分割→家庭裁判所の管轄

 共有物分割の裁判であれば地方裁判所を利用することになり、遺産分割であれば家庭裁判所を利用することになります。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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