共有物の分割 現物分割・価格賠償・代金分割・裁判による分割

 共有は、一つの物には一つの所有権(物権)という民法の一物一権主義の例外と言われます。例外ということは、民法の原則としては、あくまで一物一権ということです。なぜなら、一つの物を複数人が共有するというのは、権利関係が複雑になりがちだからです。民法としては、そのような共有状態をあまり望ましく思わないのです。
 そこで、民法は、そのような共有状態を解消する手段を規定しました。それは、共有物の分割請求です。
 各共有者は、いつでも、分割請求をすることができます。また、共有物分割請求権は消滅時効にもかかりません。したがって、各共有者は、いくら時間が経過しても、いつでも、分割請求ができます。

3通りの分割

 分割には、3通りの方法が考えられます。

1・現物分割
 これは言葉のとおりで、共有物を割る方法です。
 例えば、ABCの3者の共有の土地があった場合に、その土地を3つに分割して、各区画をABCそれぞれ一人の単有にします。

2・価格賠償
 これは、共有物を1人の所有物にして、あとはお金で解決する方法です。
 例えば、車がABCの3者共有物だった場合に、分割しようにも、土地のように現物を分割することはできません。このような場合に、共有物の車をAの単有にして、BCにはしかるべき価格(金銭)支払って解決します。

3・代金分割
 これは、共有物を売却して、その売却代金を共有者間で分ける方法です。
 例えば、車がABCの3者共有物だった場合、その車を売って、売って得たお金をABCの3者で分け合います(土地のように現物分割ができるものでも、この代金分割の方法で、土地を売却してその売却代金を共有者で分け合うことは可能)。

 これら3つの手段のどれかをとって、共有物の分割をすることができます。
 こうした共有物の分割は、共有者全員の協議で行います。

共有者間の協議が調わなかった場合(協議をすることができない場合)

 必ずしも、共有物の分割について、共有者間の協議が整うとは限りません。また、そもそも協議をすることができない場合もあるでしょう。では、もし共有者間の協議が整わなかった場合や、そもそも協議をすることができない場合は、一体どうすればいいのでしょうか?

(裁判による共有物の分割)
民法258条
1項 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2項 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。

 上記の規定により、共有者間の協議が整わないときは、裁判所に分割を請求することができます。

裁判による分割は現物分割が原則
 民法258条2項を読むとわかりますが、裁判による共有物の分割は、現物分割が原則であり、例外的に競売による代金分割の方法をとります。
 あれ?価格賠償は?
 そうなんです。民法では、裁判による共有物の分割について、価格賠償の方法は想定していないのです。そして、そのようになっていることには理由があります。その理由はこうです。例えば、ABCの三人の共有物について、裁判所が「共有物をAに取得させ、AはBCに対し価格の賠償をせよ」と判決を下したとします。しかし、現実にAが価格の賠償をしなかったとき、裁判所としてはその責任を負えないという事情があるのです。ですので、民法の規定上、裁判による共有物の分割に、価格賠償の方法が想定されていないのです。
 ただし、そうした懸念がないなど、特段の事情がある場合は、裁判による分割でも価格賠償をすることができるとした判例があります。
 従いまして、裁判による共有物の分割は、原則は現物分割で、例外的に代金分割の方法をとり、民法の規定上、価格賠償は想定していません。ただし、特段の事情がある場合は、価格賠償の方法をとることもできる、ということになります。
(スマホでご覧の場合、次の記事へ進むには画面下左の前の記事をタップして下さい)

コメント

非公開コメント

サイト運営者

根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
根本総合行政書士です。
宜しくお願いします。

保有資格:
行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

スポンサーリンク

QRコード

QR

お問い合わせ

名前:
メール:
件名:
本文:

スポンサーリンク