時効取得と登記 時効完成後の第三者

事例1
AはB所有の甲土地を善意・無過失で10年間、占有を続け、時効が完成した。そしてその時効完成後、Aが登記をしない間に、Bは甲土地をCに譲渡し、その旨の登記をした。


 この事例1は、AがB所有の甲土地を占有して時効が完成した後、甲土地の所有権がBからCに移転し、その旨の登記もされた、というケースです。
 さて、ではこの事例1で、時効が完成したAは、Cに対して甲土地の時効取得を主張できるでしょうか?
 結論。Aは甲土地の時効取得をCに対して主張できません。
 この事例は、実はとても単純な図式になっています。どういうことかといいますと、それはAとCの関係性です。AとCの関係は、単純な「どちらが先に登記をしたかの関係」です。つまり、AとCは、民法177条の「対抗関係」になります。従いまして、先に登記をしたCの「早い者勝ち」で、Aとの甲土地の所有権争いに勝つのです。

Aが所有権争いに負けたのは自分のせい

 AとCは対抗関係にあり、単純に「早く登記した者勝ち」で、Aよりも早く登記を備えたCが甲土地を取得します。では、Aには何かしらの手立てはなかったのでしょうか?これは単純な話です。Aは時効完成後さっさと甲土地の所有権登記を済ませればよかったのです。それだけの話です。つまり、せっかく時効が完成したのに、登記をしないままボサボサしていたAが悪いということです。民法は、基本的にトロいヤツには冷たいのです。
 尚、Aがさらに甲土地を占有し続けて時効期間を満たすと、再び時効が完成します(時効の起算点Cの登記時)。そうなるとAの逆転勝利で、Aが甲土地を時効取得します。

事例2
AはB所有の甲土地を善意・無過失で9年間、占有を続けた。そして、甲土地がBからCへ譲渡された。それから1年後、Aの時効が完成した後、Cは登記した。


 少しややこしくなっていますが、この事例2は、Aの時効完成前に甲土地がBからCに譲渡され、Aの時効完成後にCが登記をした、というケースです。
 さて、このケースで、Aは甲土地の時効取得を、Cに対して主張できるでしょうか?
 結論。Aは甲土地の時効取得をCに対して主張できます。AとCの甲土地をめぐる所有権争いAの勝ちです。
 ん?Cは時効完成後に登記をしているから、AとCは対抗関係で早い者勝ちにならないの?
 AとBは、対抗関係ではありません。実は事例2は「時効完成前の第三者」のケースになります(このケースについて詳しくはこちらの記事へ)。確かに第三者Cは、Aの時効完成後に登記をしています。しかし、甲土地の譲渡自体は、Aの時効完成前に行われています。そして、譲渡が行われた時点で甲土地の所有者はAからCへと移っています。「Cの登記がAの時効完成後に行われた」ということについては、単に「Cの行動がノロいだけ」のことなのです。ですので事例2は、ただ単にCの行動がノロいというだけで、あくまで「時効完成前の第三者」のケースになるのです。そして「時効完成前の第三者」のケースでは、その土地をめぐる所有権争いは時効により取得する者が第三者に勝ちます。従いまして、事例2の甲土地をめぐるAvsCの所有権争いは、Aが勝つのです。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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