賃貸人・賃借人が死亡し、相続人が複数いる場合の賃料債権・債務

 詳しくは相続分野でご説明することになると思いますが、今回は賃貸人(オーナー)または賃借人が死亡して、その相続人が複数いる場合に、その賃料債権・債務、つまり家賃の問題はどのようになるのか?という問題について触れておきます。

事例1(賃貸人死亡ケース)
Aは自己所有の甲建物をBに賃貸している。その後、Aが死亡し、Aの妻Cと子供Dが、Aを相続した。


 この事例1では、甲建物のオーナーAが死亡し、甲建物のオーナーの地位を妻Cと子供Dが相続しています。
 さて、ではこの場合に、甲建物の賃料債権はどのようになるのでしょうか?
 結論。甲建物の賃料債権は、相続分に応じて分割されて、妻Cと子供Dに相続されます。どういうことかと申しますと、例えば、甲建物を家賃10万円でBに賃貸していた場合、Bに家賃を請求できる権利は、妻C5万円分子供D5万円分、と相続されます。

事例2(賃借人死亡のケース)
Aは自己所有の甲建物をBに賃貸している。その後、Bが死亡し、Bの妻Cと子供Dが、Bを相続した。


 この事例2では、甲建物の賃借人Bが死亡し、Bの賃借権を、妻Cと子供Dが相続しています。
 さて、ではこの場合に、甲建物の賃料債務(家賃債務)はどのようになるのでしょうか?
 結論。賃料債務は不可分債務です。不可分債務とは「分割できない債務」ということです。つまり、甲建物の賃借権はCとDに相続されましたが、甲建物の家賃債務を、Cが5万円、Dが5万円、というように分割することかできないのです。そして、賃料債務が分割できないということは、CとDはそれぞれ、全額の家賃支払い義務を負うことになります。ですので、甲建物のオーナーAは、Cに対して全額の家賃10万円を請求することができ、Dに対しても全額の家賃10万円を請求することができます。ただし、オーナーAが、CとD、それぞれに対して全額の家賃を請求できるといっても、合わせて20万円の家賃を受領することはできません。受け取れる家賃はあくまで10万円です。仮に、Cに対して全額の家賃10万円を請求して、Cから10万円を受領した場合、Dの10万円の家賃債務も弁済(支払い)されたことになります。

賃借人が複数いる場合は賃貸人の債務も不可分になる

 なぜ賃借人の賃料債務が不可分かといいますと、賃貸人(オーナー)の賃借人に対する債務も不可分だからです。賃貸人の賃借人に対する債務とは「目的物を使用収益させる」ことです。つまり、事例のオーナーAは、CとDに対して、甲建物を使用収益させなければなりません。そしてこの債務は、不可分なのです。例えば、Cにはリビングを賃貸してバスルームは使わせず、Dにはバスルームを賃貸してリビングを使わせない、なんてことはできませんよね。従いまして、賃貸人の賃借人に対する債務は不可分債務となるので、賃借人の賃貸人に対する賃料債務も不可分債務となるのです。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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