賃借権の相続 賃借人が死亡したら?内縁の妻は?

 不動産の所有者が死亡したら、その不動産の所有権は、相続人に相続されます。では、不動産の賃借人が死亡した場合は、その賃借権はどうなるのでしょうか?
 結論。賃借権は相続されます。ですので、例えば、賃貸マンションに住んでいる家族の世帯主が死亡しても、残された家族が賃借権を相続するので、賃貸人(オーナー)から立退き請求されることもなく、残された家族は路頭に迷わずに済みます。というか、路頭に迷わずに住めます(笑)。

 さて、ここまでは何も問題ないはずです。そして、賃借権の相続についての、真の問題はここからになります。 先ほど、賃貸マンションに住んでいる家族の世帯主が死亡しても、残された家族が賃借権を相続するので問題ない、という旨のお話をいたしました。では、残された家族(同居人)が、世帯主の相続人ではなかった場合、一体どうなるのでしょうか?

事例
BはA所有の甲建物を賃借して、内縁の妻Cと共に住んでいる。その後、Bは死亡した。尚、Bには別れた先妻との間の子供Dがおり、DはAの唯一の相続人である。


 まず、本来の問題についての説明に入る前に「内縁の妻」について、簡単にご説明しておきたいと思います。  内縁の妻とは「男女が婚姻の意思をもって共同生活(いわゆる同棲のこと)を送っているものの、婚姻届を提出していない場合の女性」のことです。よく「内縁関係」とか「事実婚」とか呼ばれる状態にある女性が、まさにこの「内縁の妻」にあたります。もっと噛み砕いて言えば、将来の結婚を考えて同棲しているカップルは「内縁関係」にあり、そのカップルの彼女が「内縁の妻」です(内縁について詳しくは、別途「家族法」分野の「親族」についての解説で、詳しくご説明申し上げたいと存じます)。

 内縁の妻については、おわかりになって頂けましたよね。という訳で、ここから事例の話に入って参りますが、今回の事例は、登場人物が4人いて、少し複雑に感じるかもしれません。ですので、ここで事例の状況を、噛み砕いて記してみましょう。

「将来の結婚を考えているB男とC子というカップルが、A所有の建物で同棲していたが、ある日、B男が死亡した。そして、死亡したB男には、以前に離婚した奥さんとの間の子供Dがいて、なんと、そのDが、B男の唯一の相続人だった!」

 噛み砕くと、こんな話です。これならわかりやすいかと思います。そして、なんだか一悶着ありそう臭いがプンプンしますよね(笑)。
 さて、それではこの事例で、甲建物のオーナーAは、内縁の妻Cに対して「甲建物から出てってくれ」と、立退き請求ができるでしようか?
 結論。甲建物のオーナーAは、内縁の妻Cに対して、立退き請求をすることはできません。なぜなら、内縁の妻Cは、Bの相続人Dの賃借権援用できるからです。

あくまでBの賃借権を相続するのはD
「BからDが相続した甲建物の賃借権を援用できる」というのは、簡単に申しますと、内縁の妻Cは「他人(相続人D)のふんどしで相撲を取れる」ということです。つまり、オーナーAから「甲建物から出てってくれ」と立退き請求をされても、相続人Dの賃借権を盾に「わたしはここに住み続けます」と正当に主張することができます。内縁の妻Cは「相続人Dの賃借権」という名のバハムートを召喚できるのです(笑)。
 また「Bの持っていた甲建物の賃借権を相続するのはあくまでD」ということはつまり、甲建物の賃料支払い義務内縁の妻Cではなく相続人Dが負います。従いまして、甲建物の家賃を払わなければならないのは、相続人Dになります。
 え?意味がわからん!
 ですよね。ただ、これは判例で、なんとか内縁の妻を救い出すために出された結論なのです。

なぜそこまでして内縁の妻を救う必要があるのか
 もし、内縁の妻が救われない結論を出してしまうと、同棲するリスクが高まってしまうと考えられます。それは将来の結婚を考えたカップルには酷な話ですよね。そして、同棲のリスクが高まると、それに伴って婚姻率・出生率も下がってしまって、ひいては「国家の繁栄を阻害することにも繋がりかねない」というようなことまでも、大袈裟ではありますが、考えられなくもないのです。したがって、強引ではありますが、このような結論になるのかと思われます。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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