転貸借 転借人が所有権を取得したら?混同って?

事例
AはB所有の甲建物を賃借している。AはBの承諾を得て、適法に甲建物をCに転貸している。その後、Cは甲建物の所有権を取得した。


 これは、転借人Cが甲建物の所有権を取得したことによって甲建物の賃貸人になった、というケースです。
 さて、この場合、賃貸借契約と転貸借契約はどうなるのでしょうか?

 賃貸人    転貸人     転借人
  B      A       C
所有・貸す→借りる・貸す →借りる・使用
     ↑       ↑
   賃貸借契約   転貸借契約

そして

賃貸人→所有権移転→転借人から賃貸人
 B            C

どうなる?

賃借人?転貸人? 転借人?賃貸人?
   A        C
 借りる?貸す?⇆借りる?貸す?
        ↑
      賃貸借契約?
      転貸借契約?

 結論。転借人Cが甲建物の所有権を取得しても、賃貸借契約も転貸借契約も存続します。

混同
 法律の基本的な考え方からすれば、転借人Cが所有権を取得すると、転借人Cが元々持っていた転借権が混同により消滅するはずです。
 混同とは、一人の者が所有権と他の物権を取得したことにより、同時に持っていても無意味な権利が消滅することです。

(混同)
民法179条
同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。

 これでは分かりづらいと思いますので、具体例を挙げます。

AはB所有の甲土地の借地権を取得した。その後、Aは甲土地の所有権を取得した。

 これは、元々、Bの所有している甲土地を賃借していたAが、自ら甲土地の所有権を取得した、というケースです。この場合、Aは、甲土地の借地権と所有権の両方を持つことになります。しかし、所有権と借地権の両方を持っているということは「自分の所有物を自分に賃借している」という、訳の分からない状態になってしまいます。従いまして、Aが所有権を取得したことにより、借地権は意味のないものになり、その借地権は消滅します。これが混同です。つまり、Aが自ら甲土地の所有権を取得したことにより混同が生じ、借地権は消滅するのです。※
※尚、民法179条には続きがあり、混同が生じないケースも規定しています。それは抵当権などが絡んでくるケースなのですが、それにつきましては、また別途改めてご説明いたします。

 ということで、混同についてはお分かり頂けたかと存じます。
 さて、それでは話を冒頭の事例に戻します。
 転借人Cが甲建物の所有権を取得しても、混同は生じません。従いまして、賃貸借契約も転貸借契約も存続することになり、下記のような状態になります。

 賃貸人    転貸人     転借人
  C      A       C
所有・貸す→借りる・貸す →借りる・使用
     ↑       ↑
   賃貸借契約   転貸借契約

 Cは、転借人でありながら賃貸人も兼ねることになります。
 なんかややこしい!
 ですよね。しかし、これは転貸人Aの権利の保護のため、やむを得ないのです。というのは、元々、転貸人Aは転借人Cから家賃を受け取っています。もし、転借人Cが甲建物の所有権を取得したことで混同が生じ、それに伴ってAC間の転貸借契約が消滅してしまうと、転貸人Aは、転借人Cから受け取れるはずの家賃を受け取れなくなります。それは転貸人Aの、転借人Cに対して持つ賃料請求権害すことになります。したがって、転貸人Aの権利を保護するため、AC間の転貸借契約も存続することになるのです。AC間の転貸借契約が存続するということは、Cは、引き続き転貸人Aへ家賃を支払います。そして、転貸人Aは、賃貸人としての地位も取得したCへ家賃を支払います。つまり、AはCへ家賃を支払い、CはAへ家賃を支払う、というちょっとオモシロイ状態になります。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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