賃貸人たる地位の移転(いわゆるオーナーチェンジ) 家賃の二重払いの危険性

事例
Aは自己所有の甲建物をBに賃貸し、引き渡した。その後、Aは甲建物をCに売却し、AからCへ登記を移転した。


 これは賃借人(借主)が居住中に家主が代わったというケースです。このようなオーナーチェンジのケースは、住宅用でも事業用でも、賃借人として経験された方はいらっしゃると思います。ケースにもよりますが、ある日、いきなり管理会社からオーナーチェンジの知らせを受け、面食らってしまった方もいらっしゃるかと思います。
 さて、このときに、甲建物を賃借しているBにとって、ある問題が生じます。それは「本当にAからCへオーナーチェンジしたのか?」という問題です。なぜそれが問題になるのかといいますと、それは「家賃を払うべき相手は本当にCでいいのか?」ということに繋がるからです。

家賃二重払いの危険性
 
 もしオーナーチェンジの知らせがウソで、新オーナーと名乗る人物がニセモノで、その自称新オーナーに家賃を払ってしまったらどうなるでしょう?家賃を払った賃借人は、ある日、こんな連絡を受けてビックリするはずです。
「〇〇さん!家賃が振り込まれていませんよ!?」
 そして、次のようなやり取りが展開されるでしょう。
「え?確かに振り込みましたよ?」
「入金の確認ができていません。振込先を間違えたのではないですか?」
「え?確かに〇〇口座に振り込みましたが...」
「〇〇さん!それ、振込口座間違っていますよ!とにかく、指定の〇〇口座にいち早く振り込んで下さい!」
 そして賃借人は、家賃の二重払いという事態に陥ってしまうのです。

新賃貸人(新オーナー)たる地位を賃借人に対抗するには登記が必要

 さて、ここから再び、事例に戻ってご説明して参ります。
 賃借人Bは、家賃の二重払いの危険性があるので、本当に賃貸人(家主・オーナー)がAからCに代わったのか、ということをきちんと確かめたいところです。そこで、判例では、この賃借人Bのような者を保護するために、Cが新賃貸人(新オーナー)として、賃借人Bに対し正当に家賃などを請求するには登記が必要としています。つまり、CがBに家賃などを請求するには、Cが甲建物の所有権を取得した旨の登記(AからCへの所有権移転登記)が必要ということです。
 従いまして、事例のCは登記を備えていますので、Bに対し正当に家賃を請求できます。逆に、もしCが登記をしていなかった場合は、Bは家賃の請求を正当に拒めます。もし今現在、事例のBのような状況にいらっしゃる方は、管理会社(貸主側の不動産会社)や新オーナーに「登記簿(登記事項証明書)を見せて下さい」と要求するか、または、自分自身で登記所(法務局)に行って登記簿の交付申請をすることもできますし、オンライン手続きで取り寄せることも可能です。そして登記簿(登記事項証明書)を確認して問題なければ、安心して新オーナーに家賃を振り込めますし、もし登記簿上の所有者が旧オーナーのままなのであれば、旧オーナーの方に家賃を振り込めば、法律上問題なく弁済したことになります(法律的に家賃を払う責任を果たしたことになる)。

補足
 尚、動産の物権変動(所有権の得喪)につきましては引渡しが基準になり、これを公信の原則といいます。一方、不動産については、全国一律に登記というルールが敷かれ、これを公示の原則といいます。この「不動産登記」というものに関しては、こちらの記事をご参照下さい。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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