不動産の中抜きは条件成就の妨害?

 条件の成就を故意に妨害するとその条件は成就されたものとみなすことができる、ということは前回の記事でも記しましたが、今回は条件成就の妨害について、現実で起こりがちな不動産に絡んだ事例でご説明して参りたいと思います。

事例1
Aは自己所有の甲建物を売却したいと考え、不動産業者Bに仲介を依頼し、契約成立を条件として甲建物の売却代金の3%の報酬を支払うという旨の契約をした。不動産業者Bは買主Cを見つけ、あと一歩で契約という所までこじつけたが、ここに来てBに報酬を払いたくないと思ったAは、不動産業者Bをすっ飛ばして買主Cと直接に甲建物の売買契約を締結した。


 この事例1は「甲建物の売却」という条件成就されると「売却代金の3%の報酬」が発生するという停止条件が、Aの故意でその成就が妨害(Bをすっ飛ばしてCと直接契約)されたという、条件成就の妨害の一種です。そしてこれは、不動産業界で「中抜き」と言われる、不動産業者が非常に嫌がるケースです。
 さて、ではこの事例1の不動産業者Bは、Aに対し約定の報酬を請求することができるでしょうか?
 結論。不動産業者BはAに対し約定の報酬を請求できます(判例)。

事例2
Aは部屋を借りたいと考え、不動産業者Bを通して甲アパートを内見し申し込みを入れた。ところが、甲賃貸アパートは不動産業者Cが所有する物件で、それを知ったAはBに仲介手数料を払うのはもったいないと思い、申し込みをキャンセルして、Cと直接に甲アパートの賃貸借契約を締結した。

 この事例2も「Aの不動産賃借の仲介」という条件成就されると「仲介手数料」が発生するという停止条件が、Aの故意でその条件の成就が妨害(Bをすっ飛ばしてCと直接契約)されたという条件成就妨害の一種です。そしてこれも、いわゆる「中抜き」と言われる、不動産業者が非常に嫌がるケースです。
 さて、この場合、不動産業者BはAに対し仲介手数料の請求ができるでしょうか?
 結論。不動産業者BはAに対し仲介手数料の請求ができます。
 このケースのような、不動産業界ではご法度とされる「中抜き」を知らないでやってしまって、後から、すっ飛ばしたはずの不動産業者から仲介手数料を請求されてビックリしてしまったという方はいらっしゃると思います。しかし、このような請求は民法130条(条件の成就の妨害)に基づいた正当な請求になりますので、覚えておいて頂きたいと存じます。
 でも、別にAは不動産業者Bとは何か契約を結んだ訳じゃないのにどうして?
 実はそうでもないんです。Aは不動産業者Bとは媒介契約※を結んだことになってしまっているのです。しかも、たとえ媒介契約書といったものを交わしていなくても、不動産業者Bを通して申し込みを入れている時点で、媒介契約を結んだと考えられてしまいます。
※媒介契約とは、民法的に言えば準委任契約になる。つまり、Aは不動産業者Bと停止条件の付いた準委任契約を結んだことになるのだ。

 というわけで、以上になります。今回取り扱った、いわゆる不動産の中抜きのケースは、現実に起こりがちなケースだと思います。余計なトラブルを避けるためにも、今回の内容を是非頭に入れておいて頂ければと存じます。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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