様々な消滅時効と除斥期間

 民法改正に関する記事でも触れましたが、消滅時効と似て非なるものに除斥期間があります。
 まず消滅時効についての確認ですが、債権は一定期間行使しないと消滅してしまいます。

(債権等の消滅時効)
民法167条
債権は、十年間行使しないときは、消滅する。

 また、これ以外にも、債権は種類ごとに細かく消滅時効が定められています。

消滅時効成立期間1年
飲食代金、宿泊代金、運送代金、レンタカー・レンタルショップの利用料金、タレントのギャラなど

消滅時効成立期間2年
塾の授業料、弁護士報酬、理容院・クリーニング店の代金債権など

消滅時効成立期間3年
建築工事の代金、診療代金、手形債権など

「など」と書いているとおり、当然これが全てではありません。例えば、商事債権は5年(商法522条)、保険料返還請求権は3年(保険法)、交通事故による損害賠償請求権は2年(自賠責法)、保険会社の保険料支払請求権は1年(保険法)、小切手債権は6ヶ月など、まだ他にも色々ございます。

 以上が消滅時効になりますが、さて、ここからが本題です。
 消滅時効と似て非なるもの、除斥期間とは一体なんなのでしょうか?
 除斥期間とは、一定の期間を過ぎると問答無用に権利が消滅する期間のことです。問答無用に権利が消滅するということは、当事者の援用なしで勝手に権利が消滅するということです。さらに、中断も停止もありません。したがって、債権者側からすると、除斥期間を過ぎるともうどうすることもできません。一方、債務者側からすると、除斥期間が過ぎてしまえばもはや援用すらする必要もないのです。

除斥期間の起算点
 除斥期間の起算点は一律に権利発生時となっています。

除斥期間の効果
 除斥期間経過による権利消滅の効果はさかのぼりません。

除斥期間の停止の例外
 除斥期間には中断も停止もありません。ただし、除斥期間の停止につきましては、不法行為を犯した加害者が隠蔽工作を行い被害者の遺族の権利行使が遅くなってしまったケースや、不法行為が原因で被害者が心神喪失の状態に陥ったケースでは、判例により、時効の停止と同じ扱いで除斥期間の進行を停止した事例があります。

除斥期間という言葉は民法の条文に存在しない

 実は、民法の条文には除斥期間という言葉は存在しません。しかし、民法が規定する権利の存続期間の中で、除斥期間と解釈されるものはあります。例えば、売主の瑕疵担保責任における解除権の行使期間(民法566、570条)、取消権の行使期間(民法126条)、窃盗被害者・遺失主の権利回復期間(民法193条)、などがあります。
 以上、今回は除斥期間についてご説明して参りました。除斥期間は消滅時効と違い、中断もなければ、よほどのやむを得ない事由がない限り停止もしません。この点はくれぐれもご注意下さい。
(スマホでご覧の場合、次の記事へ進むには画面下左の前の記事をタップして下さい)

コメント

非公開コメント

サイト運営者

根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
根本総合行政書士です。
宜しくお願いします。

保有資格:
行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

スポンサーリンク

QRコード

QR

お問い合わせ

名前:
メール:
件名:
本文:

スポンサーリンク