時効の援用

  取得時効の場合、時効の完成によって権利を取得します。消滅時効の場合、時効の完成によって権利が消滅します。
  ところで、時効というのは、時効期間が満たされると自動的に権利を取得したり自動的に権利が消滅したりするものではありません。
 え?どゆこと?
 時効期間が満たされると、時効の効果を受ける権利を得るだけです。そしてその権利を行使することを時効の援用といいます。つまり時効は、時効の援用をして初めてその効果が確定するのです。ですので、裁判所が勝手に「あ、それ時効ね」と決めることはできません。当事者が「時効を援用します」と主張して、初めてその効果が確定します。
 まとめると、「時効期間が満たされても時効の効果は確定せず、時効の援用をして初めてその効果が確定し、時効を援用するかどうかは当事者の任意(当事者次第)」ということです。
 じゃあ、時効を援用しなかったら?
 そのときは時効の効果は確定しません。取得時効なら権利の取得は確定せず、消滅時効なら権利の消滅は確定しません。例えば、AがBに100万円を貸していて、すでに10年間経過していたとしましょう。このとき、AのBに対する「100万円返せ」という債権は消滅時効にかかっています。なので、Bは時効の援用をすれば100万円の借金を返さなくてもいいのです。しかし、Bが「借金を踏み倒すなんて道義に反する。オレは意地でもAに借金を返すんだ!」といって時効を援用しなければ、AのBに対する債権は消滅しません(これを時効利益の放棄という)。

時効の援用をする当事者って誰?

 時効を援用できるのは「時効によって直接に利益を受ける当事者」だけです。ではその「時効によって直接に利益を受ける当事者」とは、一体誰なのでしょうか?
 例えば、AがBを保証人として、Cからお金を借りたとしましょう(このような場合、Aのことを主債務者といいます)。そして、CのAに対する債権が10年間の経過により消滅時効にかかった場合、Aが時効の援用をできるのは当然として、保証人Bは時効の援用ができるでしょうか?
 結論。保証人Bも時効の援用ができます。これはすなわち、保証人Bも「時効によって直接に利益を受ける当事者」ということです。なぜなら、主債務者AのCに対する債務(これを主債務という)が消滅すれば、保証人Bの債務(これを保証債務という)も消滅します。従いまして、保証人Cも時効の援用ができる当事者なのです。(保証債務の超基本はこちら

補足・時効中断の相対効

 先ほど挙げた例で、保証人Bは、主債務者Aの時効を援用できます。では、主債務者Aの債務、つまり主債務の時効が中断した場合、保証人Bの債務、つまり保証債務の時効も中断するのでしょうか?
結論。その場合、保証人Bの保証債務の時効も中断します。
 ただし!保証人Bの保証債務の時効が中断しても、主債務者Aの主債務の時効は中断しません。これを時効中断の相対効といいます。
 尚、今ご説明した「相対効」や、主債務・保証債務といったものに関しましては、別途改めて詳しくご説明いたしますので、ここではとりあえず「そういうものがあるんだ」といった形で頭に入れておいて頂ければと存じます。
(スマホでご覧の場合、次の記事へ進むには画面下左の前の記事をタップして下さい)

コメント

非公開コメント

サイト運営者

根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
根本総合行政書士です。
宜しくお願いします。

保有資格:
行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

スポンサーリンク

QRコード

QR

お問い合わせ

名前:
メール:
件名:
本文:

スポンサーリンク