消滅時効が中断するとき

 時効には2種類あります。取得時効と消滅時効です。取得時効は権利を取得する時効であるのに対し、消滅時効権利がなくなる時効です。つまり、時効によって権利が無くなってしまうのが消滅時効です。

事例1
AはBから100万円を借りた。その後、AがBにお金を返すことなく、9年間が経過した。


 さて、この事例1ですが、なんとAは、あと1年間やり過ごせばBに100万円を返さなくても良いことになります。

(債権等の消滅時効)
民法167条
債権は、十年間行使しないときは、消滅する。

 従いまして、Aはあと1年間なんとかやり過ごせば、消滅時効によって、BのAに対する「100万円返せ!」という債権消滅するので、合法的に借金を踏み倒せます。まあ、同時にAに対する信用も消滅しますが(笑)。

時効の中断

 では、Bとしては何か打つ手はないのでしょうか?
 あります。それは時効の中断です。時効の中断とは、時効期間の進行を止めることです。しかも時効の中断によって時効期間の進行を止められると、なんと時効期間はリセットされます。つまり事例1で、Aの時効が中断すると、進行していた9年間という時効期間はゼロに戻ります。

消滅時効を中断させる方法

 消滅時効の中断事由(消滅時効が中断するパターン)には下記のものがあります。

・承認
・請求
・差押え、仮差押え、仮処分

・承認
 これは債務者債務を承認することです。つまり事例1のAが「Bに100万円返します!」と認めることです。BとしてはAにその旨を一筆書かせればバッチリです(「お金返します」と口で言わすだけでも有効だが、それだけだと裁判でしらばっくれられたら厄介なので、一筆書かせればもし裁判になったときでも言い逃れられない確固たる証拠になる)。

・請求
 ようはBがAへ「金返せコラ」ということなのですが、時効を中断させるための請求は「裁判上の請求」でなければなりません。ただBがAに請求書を送っただけではダメです。
 裁判上の請求とは、例えば訴訟の提起です。つまりBがAに対して金返せという裁判を起こすことです。そして民事訴訟法上、Bの訴状提出時に時効が中断します。

・差押え、仮差押え、仮処分
 これも裁判所を使った手続きです。

 以上のように、BがAの時効を中断させる方法はいくつか存在します。ただ、どうでしょう。まず承認は難しいですよね。Aが借金を踏み倒す気満々ならまず無理でしょう。ましてやあと1年で時効になるというのに。すると残る手段は裁判所の手を借りた方法しかありません。しかし裁判を起こすとなると準備も大変です。もし時効完成までの期間が1ヶ月もないような状況だったとしたらBも大変です。そこで民法では、時効の中断とまではいかないが、とりあえず時効期間の進行を一旦ストップさせる効果のある「催告」という制度を定めています。催告をすると、時効期間が一旦ストップします。ストップする時間は6ヶ月です。つまり、BがAに催告をすれば、Aの時効期間の進行をとりあえず6ヶ月の間はストップさせることができます。催告は通常、内容証明郵便で行います(しっかりとした証拠を残すため)。
 従いまして、もしAの時効完成が間近な場合は、BはまずAに対し内容証明郵便で催告をして、Aの時効進行を一旦ストップさせて、6ヶ月以内「裁判上の請求」等の裁判所の手を借りた手続きをすれば、無事Aの時効を中断させることができます。
 尚、催告は一回限り有効なものです。もう一回催告をしたら、そこからまたさらに6ヶ月間時効がストップするなんてことはありません。ご注意下さい。
 また、もし原告(訴える側)が訴訟を取り下げたときや、訴えが裁判所で却下(門前払い判決)されたときは、時効は中断しません。この点もご注意下さい。
(スマホでご覧の場合、次の記事へ進むには画面下左の前の記事をタップして下さい)

コメント

非公開コメント

サイト運営者

根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
根本総合行政書士です。
宜しくお願いします。

保有資格:
行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

スポンサーリンク

QRコード

QR

お問い合わせ

名前:
メール:
件名:
本文:

スポンサーリンク