取得時効 自主占有について

 取得時効が成立するための要件は以下の五つです。
・20年間
・自主占有(所有の意思を持って占有すること)
・平穏
・公然
・他人の物の占有
 今回は「自主占有」以下の要件についてご説明して参ります。

自主占有

 自主占有とは「所有の意思」を持った占有です。所有の意思を持った占有とは「オイラのモノだ!」という意思で占有することです。所有の意思の有無の判断は、個人の主観ではなく権原の性質により客観的に行われます。どういうことかといいますと、例えば、Aさんがマンションの一室を借りたとします(不動産賃貸借)。この場合の「権原」は賃借権になります。所有権ではありません。そして賃借権による占有は「他主占有」になります。Aさんはあくまでマンションの一室を借りて住んでいるだけで「アタシのモノだ!」という意思で占有している訳ではありませんよね?従いまして、Aさんがマンションの一室を借りて20年間占有し続けてもAさんの所有物にはなりません。繰り返しますが、Aさんの借りたマンションの一室に対して持つ権利の「権原の性質」は賃借権で、賃借権による占有は自主占有ではなく他主占有なので、いくらAさんがそのマンションの一室を20年間占有し続けたとしても、そのマンションの一室の所有権を取得することはありません。

 ちなみにこんな場合はどうでしょう。もしAさんが、借りた家を自分の家だと勘違いして20年間住み続けたら?
 結論。それもダメです。なぜなら「所有の意思」は客観的に判断されるからです。

平穏・公然

 この二点は試験などでは問われないでしょう。一応簡単にご説明しておきますと、無理矢理に奪った訳ではなく(平穏)、コソコソとせず堂々と(公然)占有すればOK!ということです。ここはさらっと流して深く考えないで下さい(笑)。

他人の物の占有

 これは簡単ですね。読んで字の如く、他人の物を占有することです。

 以上のように、これら四つの要件と前回ご説明申し上げた「20年間」と合わせて五つの要件を満たせば、取得時効が成立し、占有者は所有権を取得します。

補足1
 取得時効成立のための要件の一つとして「他人の物の占有」とありますが「自分の物」の時効取得は可能なのでしょうか?自分の物を時効取得といってもピンと来ませんよね。例えばこうです。AがBから甲不動産を買って占有を始め、その後長期間経過してから、AB間の甲不動産の売買の効力が争われたようなケースです。この場合、Aは買主としての地位を主張する訳ですから、甲不動産はAにとってあくまで自分の物です。
 結論。自分の物の時効取得は可能です。先ほど挙げた例だと、Aは甲不動産を時効取得できます。これは判例によりこのような結論が下されています。なぜ判例がこのような結論かというと、例えば甲不動産の買主のAが、長い年月の経過により売買契約書などを紛失していたらどうでしょう?そのような売買の立証が困難な場合に買主Aのような人間を救済するために、裁判所の判断でこのような結論になっているのです。

補足2
 実はドロボーの占有は自主占有になります。
 マジで?
 マジです。なぜなら、ドロボーは「誰かのために占有している」訳ではありません。一方、賃借権の場合はあくまで「誰かのために占有している」ことになるので他主占有なのです。この点はご注意下さい。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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