無権代理と相続 本人が追認拒絶後に死亡した場合

事例3
Bは代理権がないにもかかわらず、Aの代理人と称してA所有の甲土地の売買契約をCと締結した。その後、Aは甲土地の売買契約を追認拒絶した後に死亡し、Aの唯一の相続人であるBは甲土地を相続した。


 これは無権代理人が本人を相続したケースですが、事例3の大事なポイントは、本人Aが追認拒絶をしてから死亡している点です。つまり、無権代理人Bは「追認拒絶してから死亡した本人A」を相続したということです。
 さて、この事例3ではなんと、本人Aを相続した無権代理人Bは、相手方Cからの甲土地の引渡し要求を拒むことができます。
 え?それって信義則に反するんじゃね?
 それがそうではないんです。なぜなら、事例3での本人Aは、追認拒絶してから死亡しているのです。ですので、普通であれば本人を相続したからといって無権代理人が自らの無権代理を追認拒絶することは信義則に反し許されませんが(こちらの記事もご参照下さい)、無権代理人Bが相手方Cからの甲土地の引渡し要求を拒んでも、それは「生前に本人Aが追認拒絶した」事実を言っているに過ぎないのです。もしくは、無権代理人Bが相手方Cからの甲土地の引渡し要求を拒んでも、それは生前の本人Aの意思を伝えているだけとも言えます。従いまして、無権代理人Bが甲土地の引渡し要求を拒んでも、それは信義則に反することにもならず問題ないのです。
 そもそも、本人Aが追認拒絶した時点で、甲土地の売買契約は無効に確定します。ですので、その後にAが死亡し、無権代理人Bが相続したからといって、相手方Cが甲土地の引渡し要求をしても、それは言ってみればCの悪あがきです。なぜなら、本人Aが生前に追認拒絶した時点で、すでに甲土地の売買契約は無効に確定しているからです。なので悪あがきなのです。

オマケ・複合型
事例4
Bは代理権がないにもかかわらず、Aの代理人と称してA所有の甲土地の売買契約をDと締結した。その後、Bは死亡し、相続人であるAとCがBを相続した。その後、Aは死亡し、CはAを相続した。


 ややこしい事例ですよね(笑)。無権代理と相続について慣れないと訳わかんないと思います。では、これは一体どんな事例かといいますと「無権代理人Bを本人Aとともに相続したCが、その後さらに本人Aを相続した」というケースです。
 さて、この事例4でCは甲土地の売買契約を追認拒絶できるでしょうか?
 結論。Cは甲土地の売買契約の追認拒絶はできません。
 この複合型の事例4に関しましては、結論だけ覚えてしまって下さい。なぜなら、その理屈を聞いてもよくわからないからです(笑)。一応簡単にご説明しておきますと、「CはAとともに一旦無権代理人の地位を相続し、その後に本人を相続した。ということは無権代理人が本人を相続した場合と同じように考えられるので、甲土地の売買契約は当然に有効になり、Cは追認拒絶ができない」となります。
 ん?でもCが追認拒絶することは信義則に反しないんじゃね?
 そうなんです。だからこの理屈と結論はちょっとオカシイんです。しかし、これは判例でこのような結論と理屈になっているのです。従いまして、ここはたとえ納得できなかろうが、強引にこの結論を頭にぶち込んでしまって下さい。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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