復代理人のヘマの責任を代理人は負うのか

 代理人は復代理人を選任できます。そして、復代理人を解任するのも代理人です。
 さて、それでは復代理人がヘマをやらかしてしまった場合、代理人もその責任を負わなければならないのでしょうか?責任というのは、本人に対する責任です。つまり、復代理人がヘマをやらかしたとき、代理人が本人に対し「私にも責任があります」となるのか?ということです。
 まず結論として、代理人は復代理人のやらかしたヘマの責任を負います。しかし、任意代理人と法定代理人でその中身が異なってきますので、それぞれご説明して参ります。

任意代理人の場合

 まずは、任意代理人が復代理人を選任した際の責任に関する民法の条文を見てみましょう。

(復代理人を選任した代理人の責任)
民法105条1項
代理人は、前条の規定により復代理人を選任したときは、その選任及び監督について、本人に対してその責任を負う。

 条文中の「前条の規定により復代理人を選任したとき」とは、任意代理人が復代理人を選任したときのことです。
 さて、この条文を読むだけだと「本人に対して責任を負う」ということしかわからないように思えますが、任意代理人が負うべき責任はあくまで「その選任及び監督」についてのみです。
 選任及び監督って何じゃらほい?
 それよりも、むしろここで重要なのは、復代理人のやらかしたヘマについて、任意代理人は全責任は負わなくていいということです。試験などで「任意代理人は復代理人の行為について全責任を負う」と来たら、それは×です。まずはここを頭に入れておいて下さい。
 そして民法105条には続きがあります。

民法105条2項
代理人は、本人の指名に従って復代理人を選任したときは、前項の責任を負わない。ただし、その代理人が、復代理人が不適任又は不誠実であることを知りながら、その旨を本人に通知し又は復代理人を解任することを怠ったときは、この限りでない。

 例えば、本人に「Aを復代理人にしろ!」と言われて代理人がAを復代理人に選任していた場合は、それは本人がその復代理人Aを選任したのと同じだから、その復代理人Aのやらかしたヘマの責任は本人が負うべきで、代理人に責任はないですよ、ということです。ただし!たとえ本人に「Aを復代理人にしろ!」と言われて代理人がAを復代理人に選任していたとしても、Aがヘマをやらかすいい加減なヤツだということを代理人が<知っていたのに、そのことを本人に知らせるなりAを解任するなりしなかった場合は、代理人は復代理人のヘマの責任を負わなければなりません。
 尚、条文からも読み取れますが、たとえ復代理人が本人の指名により選ばれたとしても、実際に復代理人の選任を行うのは代理人です。本人が直接選任する訳ではありません。念のため申し上げておきます。

法定代理人の場合

 法定代理人の負うべき責任は非常に重くなっております。その重さはというと、なんと法定代理人は復代理人のやらかしたヘマについて、その全責任を負います。
 マジで?でもどうして?
 なぜなら、法定代理人は自由に復代理人を選任できるからです。本人の承諾もなしに自分の判断で行えます。だからこそ、復代理人のやらかしたヘマについて負うべき法定代理人の責任は、非常に重いものとなっています。

(法定代理人による復代理人の選任)
民法106条
法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。この場合において、やむを得ない事由があるときは、前条第一項の責任のみを負う。

 条文にある「やむを得ない事由があるときは、前条第一項の責任のみを負う」というのは、やむを得ない事由があるときは任意代理人の場合同等の責任を負うということです(やむを得ない事由があるときは、本来、法定代理人が負うべき責任より軽くなるということ)。逆に言うと、やむを得ない事由があるとき以外は、法定代理人は復代理人のやらかしたヘマについて、原則、全責任を負わなければならないということになるわけです。
 自由と責任は表裏一体なのです。これは何も法律に限らず、全ての物事に言えることですよね。肝に銘じなければなりません。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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