無権代理人の責任は重い

 無権代理行為が行われた場合、相手方を救うための制度として表見代理があり、表見代理が成立すると本人が責任をとることになります。表見代理による相手方の保護は、民法が重視する取引の安全性の観点からも重要です。
 しかし、そもそも無権代理において一番悪いのは、無権代理人ですよね?もちろん民法では、無権代理人の責任についての規定もしっかり置いています。

(無権代理人の責任)
民法117条1項
他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明することができず、かつ、本人の追認を得ることができなかったときは、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。

 これ、かなり重~い責任なんです。だって本人が追認してくれなかったら、無権代理人自身でなんとか事をおさめなきゃならないってことなので。その責任の重さ、事例とともにご説明いたします。

事例
Bは代理権がないのにもかかわらず、お金持ちのAの代理人と称して、軽井沢にあるC所有の別荘の売買契約を締結した。


 上記の事例で、無権代理人Bは「Aの代理人Bです」という顕名を行なっています。ですので、あとは表見代理が成立するか本人が追認するか、というところなのです。しかし、表見代理が成立せず本人Aが追認しなかったらどうなるでしょう?
 はい。もうおわかりですよね。そんなときに、先述の民法117条による重~い責任が、無権代理人Bに待ち受けています。では、どんな重~い責任が無権代理人Bに待ち受けているのでしょか?
 まず、相手方Cが無権代理人Bに契約の履行を求めたなら、Bは別荘の売買代金を支払わなければなりません。また、相手方Cが無権代理人Bに損害賠償を請求したなら、Bはそれに応じ、賠償金を支払わなければなりません。しかも!このときの損害賠償の範囲はなんと履行利益です!履行利益ということは、履行していれば得られたであろう利益を賠償するのです!つまり、無権代理人Bは、契約の履行を迫られようが損害の賠償を迫られようが、いずれにしたって別荘の売買代金相当の支払いからは逃れられません。これ、マジでシャレにならない責任の重さです。表見代理が成立せず本人が追認しないときは、このように無権代理人には、地獄が待っているのです。

無権代理人に救いの道はないのか?

 表見代理が成立せず本人が追認しないとき、無権代理人には地獄が待っている、ということは先程ご説明したとおりですが、それでもまだなんとか!無権代理人に救いの手立てはあります。それがこちらの条文で記されています。

民法117条2項
前項の規定は、他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき、若しくは過失によって知らなかったとき、又は他人の代理人として契約をした者が行為能力を有しなかったときは、適用しない。

 上記の条文からわかることは、相手方が善意無過失でなければ無権代理人は救われるということです。つまり、事例の無権代理人Bは、相手方CがBの無権代理行為につき、その事情を知っていたか(悪意)、もしくはCの不注意(過失)でBが無権代理人だということを見落としていたのなら、そのときは無権代理人Bは救われます。また、もし無権代理人Bが制限行為能力者であった場合は、そのときも責任を免れます。(無権代理においても制限行為能力者の保護は厚いのです)
 このように、表見代理が成立せず本人が追認しないときでも、無権代理人の救いの手立ては用意されています。しかし!相手方が善意・無過失ではないことを立証する責任は、無権代理人の側にあります。つまり、相手方の悪意・有過失の立証責任は無権代理人の側にあるのです!ですので、表見代理が成立せず本人が追認しないときでも無権代理人には救いの手立てが残っているとはいえ、その手立てを使って責任を免れるのも容易ではないということです。このことからも、無権代理人のその重~い責任がよくわかります。
(スマホでご覧の場合、次の記事へ進むには画面下左の前の記事をタップして下さい)

コメント

非公開コメント

サイト運営者

根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
根本総合行政書士です。
宜しくお願いします。

保有資格:
行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

スポンサーリンク

QRコード

QR

お問い合わせ

名前:
メール:
件名:
本文:

スポンサーリンク