無権代理行為の相手方の催告権と取消権

事例2
Bは代理権がないのにもかかわらず、お金持ちのAの代理人と称して、軽井沢にあるC所有の甲別荘の売買契約を締結した。その後、Aに代理権がないことが発覚すると、Cは厄介な法律問題には関わりたくないと思い、さっさと別の買主を見つけて甲別荘をなんとかしてしまいたいと考えた。


 さて、この事例2では無権代理行為の相手方Cは無権代理人Bとの甲別荘の売買契約はナシにしてしまいと考えています。では甲別荘の売買契約がナシになる場合というのはどういうケースかというと、本人Aが追認しないか、表見代理が不成立になるか、です。しかしこれだと相手方Cは困りますよね。なぜなら、まず本人Aが追認するかしないかの決断を待たなければなりません。それまで不確定無効の状態が続きます。その間にもCとしては別の買主を探したいでしょう。もちろんその間にも別の買主を探すことはできますが、もし本人Aが追認したならば、途端にBの無権代理行為は有効になり、Cには甲別荘の引渡し義務が生じます。なのでCとしては動きづらいんです。なら他の買主は諦めてAに買ってもらおうと思っても、Aが追認してくれるならいいですが、そうでない場合は表見代理が成立しないといけません。それをお金と時間を使って裁判して立証して…となるとCも大変です。そもそも事例2でCは、法律問題には関わりたくないと考えています。
 そこで民法では、このように無権代理行為で困ってしまった相手方に、そのような状況を打破するための権利を用意しました。それが今回のテーマである、無権代理行為の相手方の催告権取消権です。

催告権

 これは、無権代理行為の相手方が本人に対して相当の期間を定めた上で「追認するか、しないか、どっちだコラ」と答えを迫る権利です。そしてもし、期間内に本人が返事を出さなかったらそのときは、本人は追認拒絶したとみなされます。無権代理行為の相手方の本人に対する催告権にはこのような法的効果があります。なので事例2の相手方Cは、本人Aに対して相当な期間を定めた上で「追認するか、しないか、どっちだコラ」と催告し、本人Aが追認すれば無権代理人Bが行った甲別荘の売買契約が有効に成立し、本人Aが追認しないかあるいは期間内に返事をしなかった場合は、本人Aは追認拒絶したとみなされ、無権代理人Bが行った甲別荘の売買契約は無かったことになり、Cはさっさと次の買主探しに専念できます。

取消権

 無権代理行為の相手方が本人に対して取消権を行使すると、無権代理行為は無かったことになります。すると当然本人は追認ができなくなります。つまり事例2で、法律問題には関わらないでさっさと他の買主を見つけたい相手方Cは、本人Aに取消権を行使すれば手っ取り早く解決できます。

補足
 無権代理行為についての追認に関して民法ではこのような条文があります。

民法113条2項
追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。

 この条文が正に今回の事例2で重要になってくるのです。というのは、もし本人Aが追認したいと考えていた場合はどうでしょう?相手方Cはむしろ別の買主に売りたいと考えていますよね。すると状況としては「本人Aの追認が先か相手方Cの取消権行使が先か」というバトルになります。そしてこのときに、本人Aが無権代理人Bに追認の意思表示をしていたらどうなるでしょう。それだと相手方Cは本人が追認したかどうか分かりませんよね。その間に相手方Cが本人Aに対して取消権を行使したら、そのときは相手方Cの勝ちです。ということを民法113条2項では書いているのです。
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