法定追認

 通常の追認は、追認権を持つ者が「その法律行為を追認します」と追認することにより行います。しかし、それ以外にも追認する方法があります。それが法定追認です。
 法定追認とは、追認権者が追認の意思表示をしなくとも、ある一定の行為を行った場合は、法律上当然に追認したとみなされる、というものです。つまり、追認権を持っている人が「追認します」と言わなくても、ある一定の行為を行ってしまった場合は、法律が勝手に「おまえのとった行動は追認したのと一緒だ!」として、法律上の追認として扱われてしまうということです。そして、その法律上追認したとみなされてしまう行為が、民法125条により規定されています。それは以下になります。

法定追認される行為(民法125条抜粋)
1  全部又は一部の履行
2  履行の請求
3  更改
4  担保の供与
5  取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
6  強制執行(自らが強制執行をする場合のみ)

 これだけだと今ひとつよくわかりませんよね。ですので、次の事例をもとに、ひとつひとつ解説して参ります。

事例
相続により甲土地を取得した未成年者Aは、単独で甲土地をBに売却した。


1・全部又は一部の履行
 この事例で、制限行為能力者である未成年者Aが単独で行った甲土地の売買契約は、有効に成立していません。では、Aが20歳を過ぎて成年となってから、すなわち行為能力者となってから、追認も取消しもしないまま甲土地をBに引き渡したとしましょう。あるいはBから、代金の全額または一部の支払いを受けたとしましょう。するとAは、甲土地の売買契約を追認したとみなされます。たとえ追認する気がなかったとしてもです。これが法定追認の効果です。

2・履行の請求
 この事例で、Aが20歳を過ぎて成年(行為能力者)となってから、追認も取消しもしないままBに対して「甲土地の売買代金を払ってくれ」と請求すると、その時点で、Aは甲土地の売買契約を追認したとみなされます。

3・更改
 更改に関しては、初学者の方はすっ飛ばしてもかまいません。ですので、ざっくり申し上げておきます。事例1で、Aが20歳を過ぎて成年(行為能力者)となってから、追認も取消しもしないまま甲土地の売買契約を乙土地の売買契約に変えた、というようなケースです。この場合も、Aは追認したとみなされます。

4・担保の供与
 担保というものについての詳細は、別途改めてご説明申し上げます。とりあえず、今回の法定追認においての担保の供与についてですが、事例のAが、20歳を過ぎて成年(行為能力者)となってから、追認も取消しもしないまま、Bからお金の代わりに何らかの物を受け取ったような場合です。そのような場合も、Aは追認したとみなされます。これだけだとピンと来ないと思いますが、とりあえず、このような規定もあるということだけ、何となく覚えておいて下さい。そして後々、担保物権等を学習してから思い出して頂ければと存じます。

5・取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
 これは、事例のAが、20歳を過ぎて成年(行為能力者)となってから、追認も取消しもしないままBに対して「甲土地の売買代金はCに払ってくれ」と言って、甲土地の売買代金を受け取る権利(債権)を他人に譲り渡すとその時点でAは追認したとみなされます。ちなみに、このようなAの行為を債権譲渡といいます(債権譲渡の超基本はこちら)、要するに、先述のような債権譲渡にも、追認効果があるということです。

6・強制執行(自ら強制執行する場合のみ)
 強制執行について、今ここで詳しく説明しようとすると、内容がテンコ盛りになり過ぎて逆に訳がわからなくなってしまいますので超ざっくり申します。事例でAが、20歳を過ぎて成年(行為能力者)となってから、追認も取消しもしていない状況で、裁判所の力を使って問答無用でBにお金を払わせることです。超ざっくりで申し訳ございません(笑)。とりあえず、そのような場合もAは追認したとみなされる、ということを頭に入れておいて下さい。(強制執行の超基本はこちら

 という訳で、今回は以上になります。正直、担保や債権譲渡など、よくわからない箇所もあったかと思います。そのような部分に関しては、担保物権や債権譲渡など、民法の学習をさらに進めた後に復習して下さい。民法の学習は、繰り返し繰り返し塗り重ねるペンキ塗りのように深めていくものだと、私は考えております。また、そのように行った方が、理解も深まりやすいと思います。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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