制限行為能力者の相手方の催告権

 制限行為能力者が、単独では有効にできない法律行為を単独でした場合、その法律行為の相手方は、取り消されるか追認されるかされるまでは、言ってみれば宙ぶらりんの状態です。

事例
被保佐人のAは、単独で自己所有の甲土地をBに売却した。

※被保佐人は民法13条の規定により、単独で有効に不動産の売買契約を結ぶことはできません。

 この事例の場合、売主側の追認がない限り、買主のBは甲土地を手に入れることができません。その上、取り消されない限りは追認の場合の支払い債務も考えて、代金の準備を欠かすわけにもいきません。買主Bとしては、非常に厄介な状況ですよね。気の毒とも言えます。そこで民法は、このような宙ぶらりんの状態にされた制限行為能力者の相手方に、催告権という救いの手を差し伸べています。

催告権とは

 宙ぶらりんにされた制限行為能力者の相手方は、制限行為能力者側に対し1ヶ月以上の期間を定めて「追認するのか取り消すのか、どっちかハッキリしてくれ!」と求めることができます。この権利を催告権といいます。そしてこの催告権は、ただ相手に答えを求めるだけの権利ではありません。そこには法的効果が存在します。そしてその法的効果は、催告をする相手によって変わってきます。
 それでは、催告権の法的効果の違いについて、事例に当てはめて考えていきます。

被保佐人Aに対し催告した場合

 買主Bが、1ヶ月以上の期間を定めた上で被保佐人Aに対し「甲土地の売買契約を追認するのか取り消すのか、どっちかハッキリしてくれ!」と催告した場合、まず被保佐人Aは、定められた期間内に、追認するか取り消すかの選択をしなければなりません。ここまでは当たり前のことです。では、定められた期間内に被保佐人Aが返事をしなかった場合どうなるでしょうか?
 この場合、被保佐人Aは甲土地の売買契約を取り消したとみなされます。これが、民法が制限行為能力者の相手方に与えた救いの手、催告権の法的効果です。つまり、買主Bは、催告することによって、自分から宙ぶらりんの状態を脱することができます。なぜ制限行為能力者の返事がない場合、取り消したみなすかといいますと、宙ぶらりん状態の解消はもちろんですが、取り消したとみなす分には制限行為能力者への損害が生じる可能性はないと考えられるからです。元の状態に戻るだけですので。

被保佐人Aの保護者「保佐人」に催告した場合

 では、買主Bが1ヶ月以上の期間を定めた上で、今度は被保佐人Aの保護者の保佐人に対し「甲土地の売買契約を追認するのか取り消すのか、どっちかハッキリしてくれ!」と催告した場合は、どうなるのでしょうか?この場合、Aの保護者である保佐人が、定められた期間内に追認するか取り消すかの返事をすることになりますが、もしこのとき、保佐人が定められた期間内に返事をしないとどうなるでしょう?なんとこの場合、保佐人は追認したとみなされます。なぜ保佐人の場合はこのようになるかといいますと、保佐人には通常の判断能力(意思能力)があるからです。通常の判断能力で考えて結論を出せるはずだからです。したがって、買主BがAの保佐人に催告し、期間内に返事がなかった場合は、保佐人は追認したとみなされるのです。

 このように、制限行為能力者の相手方には、催告権という救いの一手が与えられていて、誰に催告するかによってその法的効果は変わってきます。つまり、こういった形で、制限行為能力者の保護と制限行為能力者の相手方の公平をコントロールしているということです。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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