不法原因給付 不動産の場合

事例1
A男とB子は愛人契約を結んだ。それにともなってA男は自己所有の甲マンションをB子に贈与し引き渡した。その後二人の関係は冷め、A男はB子との愛人契約の無効を主張して清算したいと考えた。


 さて、A男とB子の愛の行方はどうなるのか?じゃなかった(笑)。この事例1で、A男は愛人契約の無効を主張してB子に甲マンションの返還請求ができるでしょうか?前回の記事でご説明しましたが、そもそも公序良俗違反の愛人契約という不法な原因により給付したものは返還請求はできません。よってA男はB子に甲マンションの返還請求はできません。と普通に考えれば結論付けますが、実は不動産の場合は少し違ってきます。なぜなら不動産には登記という制度があるからです。なんとこの登記の有無によって、A男はB子に返還請求できる場合があるのです。不法な原因による給付なのに!です。

甲マンションが未登記の場合

 これは甲マンションがA男の登記もなくB子の登記もない場合です。例えばA男がB子にマンションを買い与えたようなケースが考えられます。このような場合、判例では「引渡しをもって給付あり」としています。よって甲マンションを引き渡してしまったA男はB子に甲マンションの返還請求はできません。

B子登記済みの場合

 この場合は言うまでもないと思いますが、A男はB子に甲マンションの返還請求はできません。

A男登記のままの場合

 この場合、なんとA男はB子に甲マンションの返還請求ができます!これは判例でそのような判断がなされているのです。
 先程、不動産には登記の制度があるから、と申しましたが、だからと言ってなんで?って感じですよね。不法原因給付の制度と完全に矛盾していますし。裁判所はA男に甘いのか?とも思ってしまいます。ただ、理屈としてはこのようになっています。

「愛人契約による贈与は公序良俗違反により無効である。しかしA男の甲マンションの返還請求権を認めないとなると、B子からA男への甲マンションの登記移転請求権を認めなければならなくなる。すると公序良俗違反の贈与契約も認めなければいけなくなる。それはマズイ。しょうがない。ここはA男の返還請求権を認めざるを得ないな。スジとしてはオカシイが、致し方ない」

 このような理屈でA男の返還請求権が認められるのです。納得できますかね?はい。納得しなくてもかまいません(笑)。とりあえず「こうなっているんだ」と強引に結論とその理屈を頭に叩き込んでしまって下さい。勉強も人生も、たとえ納得できなくても進んでいかなけれなならないときがあるのです。

 という訳で今回は以上になります。今回ご説明して参りました内容から分かることは、もし事例1のようなケースでマンションを贈与した方は、登記を自分のままにしておけばこの先二人の関係が冷めても安心ですね(笑)。反対にマンションを贈与された側の方は、とにかく登記を自分に移転しておくのがイイと思います(笑)。ただし!愛人契約は推奨しませんよ!公序良俗違反ですから!
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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