不法原因給付 愛人契約で動産を贈与?

事例1
A男とB子は愛人契約を結んだ。それにともなってB子は時価総額数百万ドルは下らないジュエリーをA男から贈与され受け取った。その後二人の関係は冷め、A男はB子との愛人契約の無効を主張して清算しようと考えた。


 さて、今回はいきなり昼ドラのような事例から始まりましたが、この事例1でA男はB子に対し愛人契約の無効を主張してジュエリーの返還請求ができるでしょうか?まずはA男とB子の愛人契約について考えてみます。
 まずA男とB子の愛人契約は無効になります。無効になるというよりそもそもハナっから愛人契約は無効です。なぜなら愛人契約は公序良俗違反だからです。公序良俗というのは倫理とか道徳とか常識というようなイメージです。つまり公序良俗違反とは倫理や道徳や常識に反する違反ということです。契約というのは契約自由の原則により基本は自由ですが、あまりにもいき過ぎた内容のものは公序良俗違反により無効になります。例えば殺人契約や人身売買契約なんか成立しませんよね?それは法律的な論理でいえば公序良俗違反により無効なのです。そして愛人契約も公序良俗違反により無効になります。
 すると事例1で、A男がB子に愛人契約の無効を主張してジュエリーの返還請求はできそうな気もしますね。しかしそうはイカのなんちゃらです。

(不法原因給付)
民法708条
不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。

 A男からB子への愛人契約によるジュエリーの給付は上記の条文の「不法な原因のために給付」にあたります。つまりA男はB子にジュエリーの返還請求はできません。民法708条の理屈を簡単に説明すれば「自分から法を犯したヤツは法で保護されない」ということです。A男とB子は公序良俗違反の愛人契約を結んでいます(法律的に無効の契約なのでそもそも成立しませんが)。そもそも自分から違反を犯しておいて返還請求という法律的な主張はできないのです。つまりA男は自業自得ということです。

ジュエリーの所有権は?

 ではA男がB子に贈与したジュエリーの所有権はどうなるかというと、ジュエリーの所有権はB子のものになります。え?マジで?マジです。法律的な理屈としては贈与も無効です。ですので本来はジュエリーの所有権はA男に戻るはずです。しかしそうなると、A男の返還請求を認めないことと矛盾してしまいます。A男の返還請求を認めてしまうと、自分から法律に違反したヤツの法律的な主張を認めてしまうことになってしまいます。そうなってしまうと世の中の秩序がオカシクなってしまいます。ではどういう理屈でBのジュエリーの所有権が認められるかというとこうなります。
「A男が返還請求できない反射的効果としてB子へのジュエリーの所有権の移転は有効」
 このような論理でジュエリーはB子の物になるのです。
 従いまして!もし現在、事例1のようなケースで贈与された物を所持している女性の方は、その物は意地でも自分の手元に置いておいた方が良いかと思います(笑)。もちろん愛人契約は推奨できませんが。。。
(スマホでご覧の場合、次の記事へ進むには画面下左の前の記事をタップして下さい)

コメント

非公開コメント

サイト運営者

根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
根本総合行政書士です。
宜しくお願いします。

保有資格:
行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

スポンサーリンク

QRコード

QR

お問い合わせ

名前:
メール:
件名:
本文:

スポンサーリンク