共同不法行為

事例
AとBは二人がかりでCをボコボコにし、AはCの左手を骨折させ、BはCの右足を骨折させた。


 いきなり往年のヤンキー漫画を彷彿とさせるようなガラの悪い事例で申し訳ございません(笑)。さて、この事例でAとBの暴行は不法行為です。よって被害者のCは加害者のAとBに損害賠償の請求ができます。では被害者Cはどのように損害賠償の請求をすればよいのでしょうか?左手の骨折に関してはA、右足の骨折に関してはB、といった形になるのでしょうか?
 結論。被害者Cは加害者のAとB、どちらに対しても損害の全部について損害賠償の請求ができます。その根拠となる条文がこちらです。

(共同不法行為者の責任)
民法719条
数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。

 AとBの二人がかりのCへの暴行は共同不法行為です。共同不法行為の加害者(事例のAとB)は連帯責任を負います。そしてこの共同不法行為の加害者が連帯責任によって負う債務は不真正連帯債務です。不真正連帯債務については別途連帯債務についての解説の中で詳しくご説明致しますが、要は損害の全てをきっちり全額賠償しないかぎりは共同不法行為を働いたいずれの加害者の損害賠償債務も消えないということです。つまりAが左手の骨折に関しての損害をCに賠償したからといって、Aの損害賠償の債務がなくなる訳ではないということです。Cの損害の全てをきっちり賠償しないかぎりAもBも損害賠償債務はなくなりません。

共同不法行為の連帯責任は被害者を救済されやすくしている

 事例の被害者Cは加害者AとBどちらに対しても損害の全部の賠償請求ができます。なぜそのようになっているのか?それは被害者を救済しやすくしているためです。例えば、事例で被害者Cは左手と右足を骨折していますが、加害者Aと加害者Bのどちらがどうやってそうなったのか分からない場合もありますよね?さらには暴行時にもみくちゃになって加害者自身も誰がどうやってそうなったのか分かっていないことだってあり得ます。そのような場合に「この怪我はこの加害者」という具合に被害者が損害のひとつひとつをそれぞれ立証しなければならないとなると、それはあまりに被害者にとって酷ですよね。ですので共同不法行為においては、被害者は加害者ひとりひとりに全部の損害の賠償請求ができるのです。
 さらにこのような場合にも被害者CはAとBどちらに対しても損害賠償の請求ができます。

AとBは二人がかりでCをボコボコにし、Cは左手を骨折した。尚、AとBどちらがどうやってCの左手を骨折させたかは不明である。

 普通に考えれば、Cの左手の骨折という損害の賠償は、Aが骨折させたならA、Bが骨折させたならB、という具合に、実際に骨折させた加害者が賠償するべきです。しかしそれだと、その細かい事実を立証しなければならなくなる被害者が酷になってしまいます。ですのでこのような場合も被害者Cは、AとBどちらに対しても損害賠償の請求ができます。

補足・客観的共同関係

 そもそも一体どこからどこまでを共同不法行為とするのでしょう。判例では「A工場とB工場の両工場の廃液で被害者が公害病を引き起こした」というようなケースも共同不法行為が成立し得るとしています。つまり、不法行為を客観的に見て共同関係があれば、共同不法行為として認められるということです。
 という訳で今回は以上になります。最後までお読み頂き有難うございます。
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根本総合行政書士

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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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