分割債権(債務)と不可分債権(債務)

 債権とは、特定の者が特定の者に対して一定の行為を請求することを内容とする権利です。例えば、Bにお金を貸したAが、Bに対して「金返せ」と請求する権利が、まさしく債権になります。
 ところで、債権関係は「特定の者・対・特定の者」ですが、必ずしも1対1の関係に限ったものではありません。1個の債権に複数の債権者または債務者が存在するケースもあります。そのようなケースを、多数当事者の債権(債務)関係といいます。
 というわけで今回は、その多数当事者の債権(債務)関係の中の、分割債権(債務)について、ご説明して参りたいと思います。

分割債権と不可分債権

 まず、債権(債務)には、分割できるものと分割できないものがあります。
 分割できる債権の代表は、お金を請求する金銭債権です。例えば、100万円を50万・50万、90万円を30万・30万・30万というように、お金は当然に割ることができますよね。
 一方、分割できない債権としては「そのピアノをよこせ」のような、物の引渡しを請求する債権があります。これは割ることができません。じゃあ僕は白鍵だけ、君は黒鍵だけ、なんてできませんよね。ピアノがバラバラになって使い物にならなくなってしまいます。
 ここでひとつ注意点!
 先ほど、金銭債権は分割できると申しましたが、実は、お金を請求する債権でも、建物などの賃料債権については、分割できないとされています。例えば、大家Aが死亡して、相続人がBCDの3人だったとします。すると、大家Aが賃借人に対して持つ「家賃払え」という賃料債権を、3人の相続人BCDが相続しますが、この賃料債権を3分割することはできません。つまり、家賃が9万円であれば、BCDの3人がそれぞれ3万円ずつ賃借人に請求する、ということができないのです。ですのでこのような場合は、BCDの3人の誰か1人が代表して9万円の家賃を請求して、受け取った9万円の家賃を3人で分け合う、などの形になります。
 なんかややこしくね
 そんなこともありません。だって賃借人の立場に立ってみれば、3人の大家から別々に3万円ずつ請求される方がややこしいですよね。
 でもなんで賃料債権はお金を請求する債権なのに分割できないの?
 それは、賃料債権に対する建物の賃貸債務分割できないからです。賃貸人(大家)は、賃借人に対して賃料債権を持つのと同時に、賃借人に対して目的物(建物)を使用収益させる(貸して使わせてあげる)義務があります。その義務というのが、賃貸人の目的物の賃貸債務です。そしてその賃貸債務は分割できないのです。なぜなら、例えば、Aさんにはリビングだけ賃貸して、Bさんにはバスルームだけ賃貸して、Cさんにはキッチンだけ賃貸して...なんてできないですよね?したがって、賃料債権は分割できないのです。
 尚、賃料債権のような分割できない債権を、不可分債権といいます。また、賃料債権が分割できないので、当然に賃料債務も分割できません。分割できない債務は、不可分債務といいます(賃借人が死亡して、その相続前に未払い賃料が発生していた場合は、その未払い賃料に関しては可分債務となる。詳しくは相続分野にて改めて解説します)。

分割債権(債務)の具体例

 それではここから、どのようなケースが分割債権(債務)になるのか、その具体例を見ていきます。

事例1
AはBに150万円を貸し付けている。そしてAは死亡した。尚、Aには相続人がC・D・Eの3人おり、Aの貸金債権を3人は法定相続した。


 この事例で、C・D・Eの3人は、AのBに対する150万円の貸金債権を相続しました。このとき、3人の間で特に取り決めをしなければ、150万円の貸金債権は等しい割合で3分割されます(法定相続)。つまり、C・D・Eの3人は、それぞれBに対する50万円の貸金債権を持つことになります。この場合の3分割された債権こそ、まさしく分割債権です。

事例2
BはAから150万円を借金している。そしてBは、150万円の借金を残したまま死亡した。Bには相続人がC・D・Eの3人おり、Aの借金150万円を3人は法定相続した。


 この事例で、C・D・Eの3人は、Aの借金150万円を相続しました。このとき、3人の間で特に取り決めをしなければ、150万円の借金は等しい割合で3分割されます。つまり、C・D・Eの3人は、それぞれ50万円の借金を背負うことになります。これが分割債務です。

 以上が分割債権・債務です。最後に念のため申し上げておきますが、債権者が複数になるのが分割債権債務者が複数になるのが分割債務です。ご注意下さい。
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債権譲渡の超基本

 債権は譲り渡すことができます。例えば、AがBに対して持っている「50万円支払え」という債権を、AがCに譲り渡すことができます。これを債権譲渡といいます。そして債権譲渡が行われると、その債権が譲渡人から譲受人のものへと移ります。つまり、AのBに対する「50万円支払え」という債権がCに債権譲渡され、CがBに対して「50万円支払え」という債権を持つことになります。このときの譲渡人譲受人です。

譲渡人 譲受人
 A → C
   ↑
 債権譲渡

そして債権債務関係が次のようになる。

債権譲渡前
債権者 債務者
 A → B

債権譲渡後
債権者 債務者
 C → B

 債権を譲渡することなんてあるの?
 はい。あります。例えば、AがBに500万円を貸し付けていて、その弁済期が1年後だった場合に、Aが今すぐまとまった現金が必要になったようなときです。このとき、AはBに対して「今すぐ500万円返せ」とは言えません。なぜなら弁済期が1年後だからです。一方、Bには弁済期までは500万円を返さなくていい権利があります。そこで、Aはこう考えます。
「誰かこの500万円の金銭債権を買ってくれないかな」
 すると、そこにCが現れて
「だったらその500万円の金債債権、450万円で買ってやるよ」
とAに言ってきました。
 Aとしては、500万円の金銭債権を450万円で売るわけですから、50万円の損になります。しかし、それでもAは今すぐにどうしてもまとまったお金が必要です。背に腹はかえられないということで、Aは500万円の金銭債権をCに450万円で売りました。一方、CはBに対して「500万円支払え」と請求できる権利(債権)を450万円で買ったわけですから、1年後にBから500万円全額の弁済を受ければ、50万円の儲けになる、というわけです(ちなみにCにも「債務者Bに借金を踏み倒される可能性」というリスクはある)。
 
実際に債権譲渡が利用されるケースの典型

 実際に債権譲渡が利用される典型的なケースとして、債権者が弁済能力のない(簡単に言えばお金がなくて支払い能力がないこと)債務者から、その債務者に対する債権を回収するために、その債務者自身が持っている債権を譲渡してもらう、というのがあります。これは企業間で、取引先の会社の経営状況が不安定なため、その取引先の債務の弁済として、その取引先が持っている債権を譲渡してもらう、などといったケースです。以下にその具体例を記します。

A社はB社に100万円の売掛金債権を持っている。B社はC社に100万円の売掛金債権を持っている。A社はB社に対する100万円の売掛金債権を回収したいが、経営状況の悪いB社には100万円の支払い能力がない。そこでA社とB社は、B社がC社に対して持つ100万円の売掛金債権を、B社からA社に債権譲渡する契約を結んだ。

 これが、実際に債権譲渡が利用される典型的なケースです。この事例の場合、A社が債権譲渡の譲受人で、B社譲渡人です。そして債権譲渡により、A社はC社に対して100万円の支払いを請求することができ、C社に100万円の支払い能力があれば、A社は無事、100万円の売掛金債権を回収することができます。そして、その債権譲渡により、B社はA社に対する100万円の債務を履行したことになります。
 このような事例から、債権譲渡という制度には一定の必要性と合理性がある、ということがわかります。

 以上が、債権譲渡についての超基本になります。
 債権譲渡については、また改めて、より踏み込んだ解説をいたします。
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相殺の超基本

 相殺とは、債務者が債権者に対して同種の債権を有する場合、その債務と債権を対等額で消滅させる一方的な意思表示です。
 といっても、このような説明ではわかりにくいですよね。という訳で、相殺について、具体例を挙げながらご説明して参ります。

事例1
AはBから10万円のギターを買い受け、その代金はまだ支払っていない。また、BはAから10万円のベースを買い受け、その代金はまだ支払っていない。


 このケースで、AはBに対してギター代金「10万円支払え」という債権を持っているのと同時に、BもAに対してベース代金「10万円支払え」という債権を持っています。このような場合に、Aが相殺をすると、AのBに対する「10万円支払え」という債権は消滅し、BのAに対する「10万円支払え」という債権も消滅します。これが相殺です。
 すなわち、相殺とは、互いが互いに同種の債務を負っていて、互いが互いに対して同種の債権(ほとんどの場合が金銭債権と思ってよい)を持つ場合に、一方の意思表示で互いの債権を打ち消し合う仕組みです。

 ギター代債権10万円
     ↓
    A⇆B
     ↑
 ベース代債権10万円

Aが相殺をすると

A→債権消滅←B

 尚、Aから相殺する場合、AのBに対する「ベース代10万円支払え」という債権を自動債権、BのAに対する「ギター代10万円支払え」という債権を受動債権といいます。

(Aから相殺する場合)

 ギター代債権10万円←受動債権
     ↓
    A⇆B
     ↑
 ベース代債権10万円←自働債権

 また、Bから相殺することももちろん可能です(結果はAからする場合と同じ)。その場合は、BのAに対する「ギター代10万円支払え」という債権が自動債権、AのBに対する「ベース代10万円支払え」という債権が受動債権となります。

(Bから相殺する場合)

 ギター代債権10万円←自動債権
     ↓
    A⇆B
     ↑
 ベース代債権10万円←受動債権

 つまり、相殺する側(相殺の意思表示をする側)の債権が自動債権、相殺される側の債権が受動債権、ということです。

事例2
AはBから10万円のギターを買い受け、その代金はまだ支払っていない。また、BはAから15万円のベースを買い受け、その代金はまだ支払っていない。


 このケースも、AとBは互いに債権を持っています。しかし、今回は互いの債権の額が違います。BのAに対する債権が「10万円支払え」なのに対し、AのBに対する債権は「15万円支払え」となっています。
 それではこの事例2で、Aが相殺すると、AとBの債権はどうなるのでしょうか?
 相殺すると、各債務者はその対等額についてその債務を免れます(民法505条)。つまり、相殺すると、互いの債権額のうち対等額分が消滅します。
 従いまして、事例2でAが相殺をすると、AとBの互いの債権の対等額10万円分が消滅します。よって、AのBに対する債権は「5万円支払え」となり、BのAに対する債権は消滅します。

 ギター代債権10万円
     ↓
    A⇆B
     ↑
 ベース代債権15万円

Aが相殺すると

(ギター代債権は消滅
    A→B
     ↑
 ベース代債権5万円

 以上が、相殺についての超基本になります。
 相殺については、また改めて、さらに踏み込んだ解説をいたします。
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保証債務 保証人と物上保証人

 抵当権は、債務者の不動産を担保とします。それに対し、保証人は「保証人そのもの」を担保とする、いわば人的担保です。そしてさらに、債務者以外の「人の物(財産)」を担保にすることもできます。それが物上保証です。

事例
BはA銀行から事業資金を借り入れようとしていたが、担保にできるような財産を持っていなかった。そこで、大地主の娘である妻Cが、夫Bのために自らの財産(不動産)をその事業資金の融資のための担保にした。


 これが、物上保証の典型的なケースです。この事例は、Bが銀行から融資を受けるために、Bの妻Cが、BのためにC自身の財産(不動産)を担保にした、という話です。もう物上保証の意味は、おわかりになりますよね。
 そしてこのとき、A銀行は債権者、Bは主債務者、Cは物上保証人、という立場になります。

      債権者
      A銀行
(貸金債権)↙︎   ↘︎(抵当権)
    B     C
  主債務者   物上保証人

物上保証人と保証人の違い

 ところで、冒頭に、保証人は「保証人そのもの」を担保とするいわば人的担保だ、と申し上げました。それに対して、物上保証人は「保証人の財産」を担保とします。
 ん?それで何が違うの?
 実は、この「保証人そのもの」と「保証人の財産」の違いは、か・な・り!重要な意味があります。

保証人の場合

 保証人は、主債務者が債務を履行しないときに、その債務を肩代わりします。例えば、BがAから借金をしていて、Bの保証人がCの場合、Bが借金を返せないときに、CがBの借金を肩代わりすることになります。Bの借金が100万円なら100万円、1000万円なら1000万円を、Cが肩代わりすることになります。加えて、遅延損害金があれば、それも合わせてCが肩代わりしなければなりません。さらにそれだけではありません。もし保証人Cが主債務者Bの借金を肩代わりしなければならなくなった場合に、保証人Cが「そんな金払えるか!」と言って支払わないとなると、債権者Aは、保証人Cに対して訴訟を提起することができます。つまり保証人Cは、場合によってはBの借金のために、債権者Aから裁判を起こされる可能性があるのです。
 マジで?保証人キッツイわ~!
 はい。マジ、キッツイです。ということで、保証人の責任には限度がないのです。これを、保証人の無限責任といいます。そして、この「保証人の無限責任」こそ、保証人は「保証人そのもの」を担保にする、ということの真の意味です。
(厳密に言えば、保証人にもいくつかの種類があり、その種類ごとに責任の重さも異なりますが、それについては、また別途改めて解説いたします。)

物上保証人の場合

 物上保証は、物上保証人の「特定の財産」を担保にします。例えば、BがAから借金をしていて、Bの物上保証人がCの場合、Bが借金を返せないときに、CがBのために担保にした不動産を競売に出して、その売却金をBの借金返済にあてることになります。
 ん?保証人とどう違うの?
 全然違います。なぜなら、物上保証人Cは、いざBの借金返済のために持って行かれる財産は、Bのために担保にした不動産のみです。どういうことかといいますと、Bの借金が1000万円で、物上保証人CがBのために担保にした不動産が500万円相当だったとしても、いざBの借金返済のために持って行かれるCの財産は、500万円相当の不動産のみです。残りの借金500万円に関しては、Cに責任は及びません。担保にした不動産が競売に出されて、そこでCの責任は終了です。Bの借金がいくら残っていようが、もはやCには関係ありません。なぜなら、物上保証人Cが責任を負うのは、あくまで担保にした不動産だけであって、Bの借金そのものの責任を負うわけではないからです。したがって、物上保証人の責任には限度があります。保証人の責任は無限責任ですが、物上保証人の責任は有限責任なのです。

 以上が、保証人と物上保証人の違いになります。この違いを理解すると、そもそも保証人とは何なのか?物上保証人とは何なのか?ということが、よく理解できるかと思います。
 保証人は無限責任、物上保証人は有限責任。皆さん、誰かの保証人になろうとするときは、ここでご説明した内容をよく理解した上で、その判断をして頂ければ存じます。
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人的担保?保証人・保証債務の超基本

事例
AはBに200万円を貸し付けた。その後、返済期限が過ぎても、Bは一向にその借金を返済しない。


 さて、この事例で、Aは困っています。なぜなら、貸し付けた200万円をBが返済しないからです。このままいけば、Aが取るべき手段は、そのまま諦めるか訴訟を提起するかのどちらかです。そのまま諦めれば、貸した200万円はドブに捨てたようなもんです。となると、Aとしては訴訟を提起して、なんとか200万円を回収したいところです。訴訟を提起して裁判で勝訴すれば、AはBに対して強制執行の手続きを取ることができます。そして、Bの一般財産を差し押さえて、強制競売によりお金を回収することになります(強制執行と差押えについて詳しくはこちらの記事へ)。それで一件落着...と言いたいところですが、この方法にはリスクがあります。というのも、もしBに財産がなかったら、たとえ強制執行したところで、お金は回収できません。「無い袖は振れない」というヤツです。ましてや、裁判をするとなると、手間も時間もお金もかかります。それで強制執行して1円も回収できなかったら、まさに「骨折り損のくたびれもうけ」です。さらに、たとえBに財産が残されていたとしても、他にも債権者がいた場合は、他の債権者とその財産を分け合うこととなり、全額の回収は非常に難しくなります(現実の債務者破産のケースに至っては、債権の1割が回収できればマシだとされています)。
 従いまして、強制執行は、債務者Bの意思に関係なく、国家権力を使って強制的にお金を回収することができますが、実はリスクも大きいのです。
 他にAの取れる手段は本当にないの?
 あります。ただそれは、お金を貸し付ける段階で取っておくべき手段になります。つまり、事前に取っておくべき手段ということです。
 それはどんな手段?
 まずひとつは、抵当権(担保物権)です。貸し付ける300万円の担保として、Bの不動産を確保する方法です。これなら、担保にしたBの不動産については、300万円という貸金の回収のための財産として、確実に確保しておくことができます(抵当権について詳しくはこちらの記事へ)。
 他には?
 あります。これも、お金を貸し付ける段階で取っておくべき手段で、それは保証人を立てる方法です。
 というわけで、ここから、今回のテーマである「保証債務」について、ご説明して参りたいと思います。

保証債務とは

 冒頭の事例で、債権者のAは、債務者のBに、貸したお金を返してもらえない、という事態に陥ってしまいました。当然、Aは貸したお金をきっちり回収したいはずです。そこで、Aはあらかじめこのような事態に陥った場合を想定して、Bにお金を貸し付ける段階で、Bの保証人保証契約を結ぶことができます。保証人との保証契約とは、要するに「債務者Bがお金を返せなかったとき、保証人か肩代わりしますよ」という約束です。つまり、Bの保証人と保証契約を結んでおけば、Bが300万円の返済を滞らせても、Aは保証人に対して300万円を取り立てることができます。
 保証人は、いわば人的担保です。抵当権が、いざというときに担保として確保した不動産をおさえるのに対し、保証債務は、いざというときに保証人という「人そのもの」をおさえます。だから「人的担保」なのです。
 尚、Bが保証人を立てた場合、保証人のAに対する債務を保証債務、BのAに対する債務を主債務といい、Bは主債務者という立場になります。

主債務者 債権者 
  B ← A → 保証人
(主債務)    (保証債務)

 ここで2つ、注意点があります。

・保証債務の付従性
 保証債務は、あくまで主債務の存在が前提です。したがって、主債務者Bの債務、すなわち主債務が、無効であったり取り消されたりしたような場合は、保証債務も成立しなくなります。このような保証債務の性質を、付従性といいます。

・主債務の保証債務はあくまで別個の契約
 先述のとおり、保証債務は主債務の存在が前提に成り立っています。ただし、保証契約の当事者は、あくまで債権者と保証人です。つまり、Bの債務の保証のためとはいえ、保証契約を結ぶのはAと保証人であって、Bの保証人が結ぶわけではありません。したがって、AがBの保証人と保証契約を結ぶと、AB間の主債務の契約と、Aと保証人の保証契約2つの契約が並立することになります。

債権者ー主債務者←主債務の契約
          ⇅(並立)
債権者ー保証人←保証契約

 というわけで、保証人・保証債務の超基本、おわかり頂けましたでしょうか。尚、保証債務については、「連帯債務」「連帯保証」についての解説の際、また改めて詳しくご説明いたします。
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抵当権の意味

 抵当権とは、金融機関などが融資(お金を貸すこと)を行う際、その融資したお金が回収できない場合の担保として不動産を確保して、実際にお金が回収できないような事態になったときは、強制的にその不動産を競売に出して(売っぱらって)、他の債権者に優先してその売却金からお金を回収できる権利です。

事例
AはBから「店を始めるのでお金を貸してくれ。絶対にこの商売を成功させて返すから!」と頼まれた。そこで、AはBにその事業資金として200万円を貸した。それからしばらく、Bの店の経営は順調だったが、ある時からBの店の売り上げはどんどん下がっていき、次第に店の経営状況は悪化し、それと共にBの財産状況も悪化した。金に困ったBはサラ金に手を出し、サラ金業者Cから100万円を借金した。それでも足りないBはさらにクレジット会社Dからも100万円を借金した。そして結局、その後、Bは破産した。尚、Bに残っている財産は200万円の不動産だけである。


 このケースで、各債権者の回収できる金額は次のとおりです。
Aが返済を受ける額→200万×50%=100万円
Cが返済を受ける額→100万×50%=50万円
Dが返済を受ける額→200万×50%=50万円

 これが債権者平等原則による結果です。
 ところが、Aが200万円の貸金についてBの不動産に抵当権を付けていた場合は、各債権者の回収できる金額は次のようになります。

Aが返済を受ける額→200万円
Cが返済を受ける額→0円
Dが返済を受ける額→0円

 抵当権は、抵当不動産について「他の債権者に先立って」自己の弁済を受けることができる権利です。したがって、AはBの不動産に抵当権を付ければ、抵当権者として、CとDに優先して、Bの不動産200万円からお金を回収することができます。これが抵当権の強みです。
(債権者平等原則についての超基本はこちらの記事、抵当権についての超基本はこちらの記事をご覧下さい)。

 ところで、抵当権はなぜそんなに強いのでしょうか?
 CとDにしてみれば、AがBの不動産に抵当権を付けていたというだけで、1円も回収することができなくなってしまいます。それは、民法で「他の債権者に先立って」と規定されているから、と説明してもいいのですが、こう説明することもできます。抵当権は担保物権です。すなわち、抵当権は物権なのです。民法の原則として、物権は債権よりも強い権利です。特定の者が特定の者に対して主張できる権利が債権なのに対し、物権は不特定多数の全ての者に対して主張できる権利です。したがって、物権は債権に勝ります。ですので、担保物権という物権である抵当権債権に勝り、抵当権者は他の債権者に優先して、抵当不動産からお金を回収することができるのです。
 尚、抵当権は登記できます。これも、抵当権が物権として強力な権利であることを示していますね。

「一般財産」の意味

 抵当権者などの担保物権者以外の債権者を、一般債権者と言ったりします。そして、一般債権者が差し押さえることができる財産を一般財産と言います(差し押さえについて詳しくははこちらの記事へ)。つまり、一般財産というのは、債務者の総財産から「抵当不動産などの担保として確保された財産」を差し引いた財産のことです(よく借金問題や破産事件などで「一般財産」という言葉を聞くことがあると思いますが、その言葉の意味は、今回ご説明申し上げた担保物権(抵当権)の仕組みを理解しないと、よくわからないのではないかと思います)。
 従いまして、事例で、AがBの不動産に抵当権を付けていた場合は、サラ金業者Cとクレジット会社Dは、あてにできるBの財産は一般財産だけで、一般財産がなければアウトということです。また、もしBの不動産が300万円のもので、Aの貸金を回収しても尚100万円残っていれば、その100万円をCとDは50万ずつ分け合うことになります。つまり、抵当権者がライオンなら、一般債権者はハイエナです。先にライオンが食い散らかした財産を、後からハイエナ達が食い合うようなものです。

 というわけで、今回は以上になります。なぜ住宅ローンを組むときに、金融機関が購入した不動産に抵当権を付けるのか、その意味がよくわかりますよね。
 尚、抵当権については、前回の記事と合わせてご覧になって頂ければと存じます。また、余裕がございましたら「債権債務の超基本」から順に、今回の記事までお読み頂ければ、より債権というものについての理解が深まるかと思いますので、よろしければ是非。
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担保物権 抵当権の超基本

 今回は担保物権の一種、抵当権の超基本についてご説明して参ります。
 まずはこちらの事例をご覧下さい。

事例
AはBから「店を始めるのでお金を貸してくれ。絶対にこの商売を成功させて返すから!」と頼まれた。そこで、AはBにその事業資金として200万円を貸した。それからしばらく、Bの店の経営は順調だったが、ある時からBの店の売り上げはどんどん下がっていき、次第に店の経営状況は悪化し、それと共にBの財産状況も悪化した。金に困ったBはサラ金に手を出し、サラ金業者Cから100万円を借金した。それでも足りないBはさらにクレジット会社Dからも100万円を借金した。そして結局、その後、Bは破産した。尚、Bに残っている財産は200万円の不動産だけである。


 さて、この事例で、破産してしまった債務者Bから、債権者A・C・Dの3者が回収できる金額は次のとおりです。

各債権者へのは配当割合→200万÷400万=50%
したがって
Aが返済を受ける額→200万×50%=100万円
Cが返済を受ける額→100万×50%=50万円
Dが返済を受ける額→200万×50%=50万円

 債権者平等原則により、各債権者は平等に扱われ、上記のような結果になります(これについて詳しくはこちらの記事へ)。

 さて、ここからは冒頭の事例について、Aの立場に立って、債権というものについて考えてみます。
 ところで、Aは結局、Bに貸した200万円のうち、返済を受けられたのは半額の100万円でした。これって、ハッキリ言って、Aとしては貸し損ですよね。しかし、これが債権者平等原則による結果です。それでは、Aは債権者として、何か取るべき手段はなかったのでしょうか?
 それが、あるのです。そしてその手段というのが、今回のテーマである担保物権です。

担保物権

 担保物権にはいくつかの種類がありますが、その中でもっとも現実に利用されていて、代表的な存在が抵当権です。
 ということで、まずは抵当権についての民法の条文を見てみましょう。

(抵当権の内容)
民法369条
抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

 条文中に、抵当権についての非常に重要なポイントが二つあります。それは「占有を移転しないで」と「他の債権者に先立って」です。それではここから、まずはそもそも抵当権とは何なのか?というところから始めて、先述の二つのポイントから、抵当権のその性質・特徴についてご説明して参ります。

そもそも抵当権ってなに?

 日常でもよくある、一般的にもっとも馴染みのある抵当権のケースは、住宅ローンです。ですので、住宅ローンの例でご説明いたします。
 例えば、Aさんが住宅ローンを組んでマイホームを購入したとしましょう。このとき、Aさんに融資をした(お金を貸した)銀行が債権者Aさんは債務者です。そして債権者である銀行は、万が一、Aさんが住宅ローンを返済できなくなったときのために、そのマイホームを住宅ローンの担保として確保します。住宅ローンの担保として確保するとは、わかりやすく言えば「住宅ローンの保証にする」ということです。住宅ローンの保証にするとはつまり、「もし住宅ローンが返済できなくなったらこの不動産(マイホーム)を売っぱらってそのお金をローンの返済にあてます」ということです。そして、もし債務者のAさんが住宅ローンの返済ができなくなった場合、債権者の銀行は、担保にした不動産(マイホーム)を強制的に売っぱらって(競売)、その売却代金からお金を回収できます。これが抵当権です。そしてこの場合、債権者である銀行が抵当権者となり、債務者であるAさんは抵当権設定者となります。また、このとき担保にしたマイホームを、債務(住宅ローン)の担保に供した不動産、といいます。

抵当権の二つのポイント
「占有を移転しないで」と「他の債権者に先立って」の意味


 そもそも抵当権とは一体何なのかは、おわかり頂けたと思います。ここからは、先述の民法369条の条文中にある「占有を移転しないで」「他の債権者に先立って」という二つのポイントから、抵当権の性質・特徴をご説明して参ります。
 まず「占有を移転しないで」ですが、これは、債務の担保に供した不動産を抵当権者(債権者)が占有する必要がない、という意味です。先の住宅ローンの例ですと、Aさんが購入したマイホームはあくまでA自身で占有して、銀行はその不動産(マイホーム)を占有しなくていいということです。これは抵当権の大きな利点です。債権者はわざわざ担保にした不動産を占有する必要がないし、債務者は担保にした不動産を使用し続けることができるので、債権者と債務者双方にとって有難いのです。
 次に「他の債権者に先立って」ですが、こ・れ・が!債権者にとってはかなりアツイ抵当権の特徴になります。どういうことかといいますと、抵当権をつけておけば、万が一、債務者が破産してしまっても、抵当権を設定した不動産については、優先的にお金を回収することができます。
 え?どういう意味?
 はい。ということで、ここで再び冒頭の事例に戻ります。

  A(200万返せ)
 ↙︎
B(残財産200万円)←サラ金業者C(100万返せ)
 ↖︎
  クレジット会社D(100万返せ)

 このような状況で、各債権者が回収できる金額は、債権者平等原則により次のようになります。

Aが返済を受ける額→200万×50%=100万円
Cが返済を受ける額→100万×50%=50万円
Dが返済を受ける額→200万×50%=50万円

 そしてここさらが肝です。もしAが200万円の貸金について、Bの不動産に抵当権を付けていたとしましょう。すると、なんと結果は次のようになります。

Aが返済を受ける額→200万円
Cが返済を受ける額→0円
Dが返済を受ける額→0円

 これが「他の債権者に先立って」の意味です!これは債権者としてデカイですよね。つまり、抵当権は、債権者平等原則をすっ飛ばせる強力な効果があるのです。

なんで抵当権はそんなに強いの?

 ここまで、そもそも抵当権とは何なのか、そしてその性質と特徴をご説明して参りました。
 ところで、抵当権はなぜそんなに強いのでしょうか?
 ということで、次回、その点についてご説明するとともに、抵当権というものについて、さらにもう一歩踏み込んで考えていきたいと思います。
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破産の超基本 債権者平等原則

 今回は、破産について考えて参りたいと思います。

事例1
AはBに200万円を貸し付けた。その後、返済期限が過ぎてもBが一向にその借金を返済しないので、Aは訴訟を提起し、勝訴した。そしてAは強制執行の手続きを取った。


 これは、Bに200万円を貸し付けた債権者であるAが、Aから200万円を借金した債務者であるBが返済期限を過ぎても金を返さないので、裁判を起こして勝訴して強制執行まで至った、という話です(強制執行・差押えについてはこちらの記事、強制執行の前段階までについてはこちらの記事へ)。
 さて、ここでひとつ、こんな問題があります。強制執行で、借金を回収できれば何も問題はありません。しかし、そもそも債務者Bに、差し押える財産がなかった場合は一体どうなるのでしょうか?
 強制執行とは、債務者の財産を差し押えて、その財産を売却して(強制競売)、その売却代金から債権を回収する事です。しかし、これは債務者に財産があることが前提ですよね。つまり、債権者Aが強制執行でお金を回収するには、債務者Bの財産の存在が前提になるということです。債務者Bの財産の中で、債権者Aが差し押さえることができる財産を、Bの責任財産とか一般財産とか言ったりします。そして、借金を踏み倒したBからお金を回収するために、Aができる方法といえば、Bの責任財産・一般財産を差し押えて売却する強制執行以外にはありません。したがって、Bの責任財産・一般財産がすっからかんなら、Aはお手上げなのです。そして、債権者Aがそのお手上げ状態になってしまう典型的なケースが、債務者破産です。

債務者破産の典型的なケース

事例2
AはBから「店を始めるのでお金を貸してくれ。絶対にこの商売を成功させて返すから!」と頼まれた。そこで、AはBにその事業資金として200万円を貸した。それからしばらく、Bの店の経営は順調だったが、ある時からBの店の売り上げはどんどん下がっていき、次第に店の経営状況は悪化し、それと共にBの財産状況も悪化した。金に困ったBはサラ金に手を出し、サラ金業者Cから100万円を借金した。それでも足りないBはさらにクレジット会社Dからも100万円を借金した。そして結局、その後、Bは破産した。尚、Bに残っている財産は200万円の不動産だけである。


 この事例2では、Bに対して「金返せ」という債権者はA・C・Dの3者います。そして各債権者の貸金の金額は、A200万円、サラ金業者C100万円、クレジット会社D100万円です。しかし、Aは破産してしまい、残された一般財産は200万円の不動産だけです。

           A(200万返せ)
          ↙︎
B(残財産200万円)←サラ金業者C(100万返せ)
          ↖︎
           クレジット会社D(100万返せ)

 さて、この時点で、残された財産が200万円の不動産のみのBは、背負った借金→200万+100万+100万=400万円全額の返済は不可能なのがわかります。では、Bに残された200万円の財産の行方は、一体どうなるのでしょうか? Aが回収するのか?それともB?C?
 結論。債務者Bに残された一般財産200万円は、債権者A・C・Dの3者平等に配当されます。
 1番最初にお金を貸したのはAなのに?
 そうです。誰が1番最初にお金を貸したか、つまり、誰が1番最初に債権を有したかは関係ありません。そして返済期限の前後も関係ありません。あくまで債権者は平等に扱われます。これを債権者平等原則といいます。
 従いまして、債務者Bの財産200万円に対して、借金の総額は400万円ですので、債権者A・C・Dの3者は、200÷400=50%の配当をそれぞれ受けることになります。すると、各債権者が返済を受ける額は次のようになります。

Aが返済を受ける額→200万×50%=100万円
Cが返済を受ける額→100万×50%=50万円
Dが返済を受ける額→200万×50%=50万円

 このような形で、Bの破産手続は終了になります。したがって、債権者A・C・Dは、3者とも平等な割合で借金を回収して、3者とも平等な割合で損をするということです。
 ということなので、 債権者平等原則とは、債権者みんなで平等に泣き合う原則、と言ってもいいかもしれません。

破産の裏で泣く債権者

 実は、現実の債務者破産のケースでは、債権者は、1割の配当がもらえればマシ、ぐらいなものです。
 え?そんなもんなの?
 はい。そんなものです。ですので、事例2のA・C・Dは、債務者破産のケースの債権者としては、ありえないぐらいマシです。よく借金問題とか破産事件だとかの話を聞くと、とかく債務者の方ばかりに目が向きがちだと思いますが、しかしその実、その裏には、スズメの涙ほどの配当で泣いている債権者達がいるということです。ですので、クレジットカード会社などが、なぜ、わざわざ申込者を審査するのか、その理由がよくわかるかと思います。
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差押え・強制執行の超基本

 今回は、期限が過ぎても債務の履行をしない債務者に対し、債権者が訴訟を起こしてからの債権の世界、その超基本について、ご説明して参ります。

事例
AはBに300万円を貸し付けた。その後、返済期限が過ぎてもBが一向にその借金を返済しないので、Aは訴訟を提起した。


 これは、債務者のBが返済期限を過ぎてもその借金を返さないので、債権者のAが裁判を起こした、という話です。
 さて、この金の貸し借り(金銭消費貸借契約)のケースで、Aが裁判で立証しなければならないことがあります。それは次の二点です。
1・返還の約束
2・金銭の授受
 つまりAは、Bの「返済期限までに300万円を返済する義務」と、Bに対して「実際にお金を貸したこと」証明しなければ裁判に勝てません。また、他にも弁済期の到来(返済期限の到来)も主張すべきとされています。
 これらの証明は、借用書があれば、その強力な証拠になります(だから貸金・借金の借用書は大事ナノダ!)。
 そして、債権者Aの立証・主張が認められれば
「BはAに対し金300万円を支払え」
というような判決文を裁判所が書き、無事、Aの勝訴となります。

強制執行

 ところで、そもそもなぜ、債権者Aは裁判を起こす必要があるのでしょうか。裁判は、時間も手間もお金もかかります。そして裁判に勝って、裁判所に「BはAに対し金300万円を支払え」というような判決文を書いてもらって、それでどうなるのでしょうか?Bがその判決文を見て自主的に300万円を返してくれる?だったら、Bが往生際の悪いヤツで、それでも300万円を返そうとしなかったら?
 そうなんです。たとえ判決が出ても、必ずしも、Bが300万円を返すとは限りません。もしBが金を返さないままなら、判決文はただの紙切れとなってしまいます。となると、Aはただの紙切れのために時間と手間とお金を使った!ということになってしまいます。
そこで!「BはAに対し金300万円を支払え」という判決文を手に入れたAは、強制執行の手続きを取ることになります。強制執行とは、簡単に言えば、国家権力を使って強制的に目的を果たすことです。それが判決文を手に入れることにより可能になります。RPGゲーム的に言えば、裁判というイベントをクリアすると「判決文」というアイテムが手に入り、判決文があれば「強制執行」という魔法が使えるようになります。つまり、債権者Aは、判決文をもらって強制執行の手続きをして、国家権力を使って、強制的にBから債権を回収(借金を回収)することができます。

差押え

 強制執行には、不動産執行、動産執行、債権執行があります。そしていずれの強制執行も、債務者の財産を差し押えて行います。差押えとは、債務者の目的財産の処分行為を禁止することです。
 従いまして、債権者Aは、まず債務者Bの財産を差し押えて勝手に財産を処分できないようにした上で、差し押えた財産を売却して(これを強制競売という)、その売却代金から借金を回収することを、国家権力を使って強制的に行うことができます。強制的とは「Bの意思に関係なく」ということです。つまり、いくらBが泣こうがわめこうが、国家権力を使って無理矢理Bの財産を差し押えて売却して借金を回収するというわけです。
 Bがかわいそう!
 確かにそうかもしれません。しかしこれは、そもそも借金を返さないBが自ら引き起こした結果です。さらに言えば、Bがかわいそうなら、300万円を返してもらえないAはどうなの?となりますよね。
 というわけで、皆さん。借りたお金はしっかり返しましょう(笑)。ただし、悪徳金融業者にはお気をつけ下さいね(これについてはまた別の機会に改めてお話いたします)。
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金の貸し借りで考える債権の世界

 債務を履行するとは、約束を守ることです。
 債務を履行しないとは、約束を破ることです。
(債権債務の超基本はこちらの記事へ。債務の履行・債務不履行について詳しくはこちらの記事へ)。
 さて、では債務を履行しない=約束を破った先には、一体どんな債権の世界が待ち受けているのでしょうか?今回はその問題について、わかりやすく、現実にもよくあるお金の貸し借り(金銭消費貸借契約)を例に、ご説明して参りたいと思います。

事例
AはBに300万円を貸し付けた。その後、返済期限が過ぎても、Bは一向にその借金を返済しない。


 まず、各当事者の立場と関係性を確認します。
 Bに300万円を貸したAは、Bに対して「300万円返せ」という債権を持ちます。つまりAは債権者です。
 そして、Bは「返済期限までに300万円を返さなければならない」という債務を負います。つまりBは債務者です。

債権者 債務者
 A → B
   ↑
   債権
 (300万返せ)

 このようになります(Aを貸金業者と考えるとよりイメージしやすいでしょう)。
 さて、事例の債務者Bは、返済期限を過ぎても300万円を返しません。つまり、Bは債務を履行しないまま期限を過ぎた=約束を破っています。では債権者Aは、Bに対して、これから一体どのような行為・手続きを行っていくことになるのでしょうか?
 民法には次のような規定があります。

(履行の強制)
民法414条
債務者が任意に債務の履行をしないときは、債権者は、その強制履行を裁判所に請求することができる。

 債権者Aは、債務不履行に陥った債務者Bに対して、裁判所を使って強制的にその債務を履行させることができます。裁判所を使うとは、訴訟を起こすということです。
 ここでひとつポイントです。債権者は、裁判所を使って強制的にその債務を履行させることができる、つまり、債権者Aは、訴訟を起こすことができるのであって、実際に訴訟を起こすかどうかは、債権者Aの自由なのです。
 このように、民事訴訟の世界では、実際に訴訟を提起するかどうかは、訴える者の自由なのです(これを処分権主義という)。
 また、債権者と債務者の間で「不起訴の合意」を交わすこともできます。不起訴の合意とは「訴えません」という約束をすることです。そして、この「訴えません」という約束、不起訴の合意は、拘束力を持ちます。拘束力を持つということは、一度、不起訴の合意をしてしまうと、その後、いくら債務者がその債務を履行しなかったとしても、債権者は訴訟を提起することができなくなります。ですので、もし友人間のお金の貸し借りでモメていて、借りた側から不起訴の合意を持ちかけてきた場合は、貸した側の人は、十分お気をつけ下さい。
 尚、不起訴の合意がなされると、その債務は自然債務になります。自然債務とは、債務者がその債務を履行すれば有効な弁済※になるが、債権者がそれを強制することができないという、債務者にとっては実に都合の良い債務です。
弁済とは、債務を履行して、その債権を消滅させること。わかりやすく言えば、約束を果たしてその義務がなくなること。
 つまり、自然債務は「いくら金借りても絶対に文句を言わない都合のいい友人」から借金した債務みたいなものです(笑)。ですので繰り返しますが、友人間などのお金の貸し借りで、不起訴の合意を求められたら、くれぐれも!お気をつけ下さい。もし不起訴の合意をしてしまえば「いくら金借りても絶対に文句を言わない都合のいい友人」に、拘束力を持った形で成り下がってしまいますから。

 というわけで今回は、民法からは少し外れた内容になってしまったかもしれません。しかし、今回のご説明で、ややこしい債権分野がよりイメージしやすいものになれば、と思います。
(尚、訴訟などで実際に履行を強制させるための手続きを規定したものが、民事訴訟法です。また、このような法律は、手続法と呼ばれます。一方、民法414のような規定・法律は、実体法と呼ばれます。ご参考までに)
 次回は、債権者が訴訟を起こして、それから一体どのように「債務者にその債務を強制的に履行」させるのか、ということについて、ご説明して参ります。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
根本総合行政書士です。
宜しくお願いします。

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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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