原則と例外と要件

 以前、動機の錯語についての記事でも少し触れましたが、今回は原則例外、加えて要件というものについてご説明申し上げて参りたいと思います。

要件とは

 まずは要件についてから、簡単にご説明いたします。
 これは簡単です。 以前の記事錯誤についてのご説明をいたしましたが、要素の錯誤は無効を主張できます。要素の錯誤とは、りんごだと思ってみかんを買ってしまったような場合です。そのような場合、要素の錯誤による無効を主張して、その売買契約(みかんを買ってしまったこと)をなかった事にできます。しかし、この要素の錯誤を主張するには、表意者に重過失、つまり本人に重大なミスがないことが必要です。この表意者に重過失がないこと、分かりやすく言うと「本人に重大なミスがないこと」が要件になります。この要件を満たして初めて錯誤の無効の主張ができます。
 要件、お分かりになりましたかね。よく犯罪の構成要件なんて言葉を耳にする事があると思いますが、あれも要するに、これらの要件を満たしたときに犯罪が成立する、ということです。犯罪を構成する要件、つまり犯罪が成立するための要件、という事です。

原則と例外とは

 続いては原則と例外についてです。これも理解しやすい内容だと思います。
 話を再び錯語について戻しますと、錯誤の無効の主張は、要素の錯誤の無効の主張しかできません。動機の錯誤の無効の主張は認められません。これが原則です。ただ、ここで原則について注意して頂きたい事がございます。原則というのは絶対という意味ではありません。意味としては、日常会話で使う言葉で例えると「基本的には」みたいなニュアンスです。例えば「基本的に怒らない人」がいたとします。でもこの人は「絶対怒らない人」ではないですよね。つまりこの人は民法的にいうと「原則怒らない人」です(笑)。そしてこの基本的に怒らない人「原則怒らない人」も怒るときがあります。それが「例外」です。
 原則と例外、お分かりになりましたかね。

原則から考え例外を考える。変な近道は控えるべし!

 法律を考えるときは必ず、原則から考えて例外を考えます。原則があって例外があるのです。その逆はありません。これは単純な話ではありますが、大事なことです。これから資格試験等に向けて民法の学習をされる方は、この「原則から考えて例外を考える」を忘れないで下さい。この事を忘れて、原則も分かっていないのに例外を考えて勉強しようとすると、訳が分からなくなり、簡単な問題も解けなくなってしまいます。

 私は、民法の学習に関しては変な近道をしようとしない方がいいと考えます。原則を考えてから例外を考える、という順序をしっかり守って頂くことは、結果的に勉強成果にも影響します。何事も基礎が大事です。それは民法を考える上でも、正しいリーガルマインドを身につける上でも重要な事です。ですので、時には遠回りに感じて面倒臭くなるときもあると思いますが、そんな時こそ、基礎を大事に地に足をつけてじっくり取り組んで頂きたいと思います。そして基礎をある程度マスターしたら、そこからはウマイことやっていけばいいんです。これは何も民法の学習だけでなく、仕事や他の色々な事についても当てはまることではないでしょうか。
 繰り返しますが、基礎はとても大事です。ですので、面倒臭がらず焦らずに臨むことです。かの伝説のプロレスラー、天龍源一郎はこう言っていました。一番大事なのは辛抱だと。。。
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動機の錯誤による無効

動機の錯誤でも無効が主張できるときとは?
 前回の記事でもご説明いたしましたが、動機の錯誤による無効の主張は原則認められません。しかし、あくまで原則認められないだけで、例外が存在します。※
※法律について考えるとき、原則から考えて例外を考えるという順序をとった方が理解がしやすいと思います。いっぺんに考えようとすると訳がわからなくなってしまいますので。あくまで原則があった上で例外があります。その逆はありません。

動機の錯誤が主張できるとき

 では、どんな例外パターンがあるのでしょうか。動機の錯誤の無効が主張できるケースとして、「動機が表示され、それを相手が認識しているとき」に、無効を主張できる場合があります。これではわかりづらいですよね。もう少し噛み砕いてご説明いたしますと、売買契約の場合「買う理由となる動機が言葉なり相手にわかるように表現されていて相手がその動機をわかっていたとき」動機の錯誤が主張できる可能性があります。

動機の錯誤が主張できるときの具体例

 例えば、こんな場合です。ある土地を購入したAさんがいます。Aさんがなぜその土地を購入したかというと、その土地のすぐ近くに、数年後に駅が建つという話を耳にしたからです。しかしその後、駅ができるという話はデマで、Aさんは目算を誤った、つまり、動機の錯誤に陥った...。
 このようなケースでは、原則、錯誤による無効は主張できません。それは前回もご説明したとおり、ただのAさんの判断ミスだからです。しかし、ある要件を満たすと、Aさんの動機の錯誤による無効が主張できる場合があります。それはどういった場合かといいますと、Aさんの「この土地のすぐ近くには数年後に駅が建つ」という動機が言葉なり表に出されていて、そのAさんの動機を相手が認識していてかつ相手はその土地のすぐ近くに駅が建つという話がデマだと知っていたのにもかかわらずそれをAさんに教えなかったときに、Aさんは動機の錯誤による無効の主張ができます。
 尚、Aさんの動機が相手にわかるといっても、たとえAさんが動機を口に出していなくても、Aさんの動機が明らかに見てとれていたならば(法律的にいうと黙示に表示されていたならば)、そのときもAさんは、動機の錯誤による無効の主張ができます。

 以上、動機の錯誤について簡単にまとめますと、
「表意者の動機が間違っていて、その動機が間違っていることを相手が知っていて、その動機が間違っていることを相手が教えてあげなかったとき、表意者は動機の錯誤の無効を主張できる」
となります。つまり、表意者の動機が間違っているのに気づいていたなら相手は表意者に教えてやれ!てハナシです。

 動機の錯誤の無効の主張について、おわかりになりましたか?じゃあこの場合は?あの場合は?色々あると思います。
 最後に付け加えて申し上げておきますと、実際には、要素の錯誤と動機の錯誤のラインというのは、ハッキリ引ける訳ではありません。現実には微妙な事例がいくつも存在します。そこで参考にするのは過去の裁判の判例になるのですが、いずれにせよ、現実には事案ごとに、個別具体的に判断するしかないかと思います。ですので、今回ご説明申し上げたことは、あくまで民法上の基本的な考え方になりますので、その点を踏まえた上で、頭に入れておいて頂ければと存じます。
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動機の錯誤の超基本

 まず始めに、いきなり結論だけ先に申し上げておきますと、動機の錯誤による無効というのは、原則、主張できません。よほどやむを得ない事由(理由)がない限りです。なぜなら、動機の錯誤というのは、要するに自らの判断の誤りだからです。
 という訳で、その点について、今からご説明して参ります。

動機の錯誤はテメーの判断ミス!

 動機の錯誤というのは、例えば、「このりんご美味しそうだな」と思ってそのりんごを買ったが、いざ食べてみたら不味かった、というようなケースになります。つまり、「このりんご美味しそうだな」という動機をもとにりんごを買ったが、その動機が間違っていたので不味かった訳ですよね。多分、これはどなたも異論がない所だと思いますが、この場合に錯誤の無効の主張を認めて、この売買契約(りんごを買ったこと)を無かった事になんか、できる訳ないですよね。オメーのただの判断ミスだろ!となりますよね(笑)。そもそも、そんな事で無効を主張できてしまったら、商売なんかできたもんじゃないです。それは何も民法の規定だけでなく、我々だって望まない所だと思います。従いまして、動機の錯誤による無効の主張は、原則できないんです。

要素の錯誤と動機の錯誤の違いのまとめ
 
 要素の錯誤と動機の錯誤の違い、お分かりになりましたか?ここで要素の錯誤について、先述のりんごの例でご説明いたしますと、要素の錯誤は、りんごだと思ってみかんを買ってしまったような場合です。この場合、そもそもりんごを買おうという意思とみかんを買ったという行為一致していません。
 では動機の錯誤はというと、動機と行為は一致しています。りんごを買おうという意思のもとにりんごを買っているので。ただ「美味しそうだな」という動機が間違っていただけです。
 ちなみに、ギターの例で動機の錯誤についてご説明いたしますと、「このギター良い音しそうだな」と思ってギターを買ったら全然良い音がしなかった、というような場合です。それで楽器屋のオヤジに向かって「これは動機の錯誤による無効だ!だからこの買い物はナシだ!」と言えますかね?言えないでしょう。楽器屋のオヤジも、怒るどころか唖然とするでしょうね(笑)。確かに、良い音しそうだという動機の錯誤はありますが、それは本人が勝手にそう思っただけで、ギターを買おうという意思とギターを買った行為一致しています。つまり、何の問題もないのです。したがって、動機の錯誤の無効は主張できないのです。

 要素の錯誤と動機の錯誤の違い、おわかりになりましたよね。次回、例外的に動機の錯誤でも無効が主張できる場合があることについて、ご説明して参ります。
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要素の錯誤による無効

錯誤による無効とは

 錯誤を理由に、契約の無効を主張することができます。例えば、ギターだと思ってベースを買ってしまった場合、その契約(ギターを買ったこと)の無効を主張できます。つまり、その契約を無かったことにできるのです。そして、買ったベースは店に返し、払ったお金は返してもらいます。

(錯誤)
民法95条
意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

 上記の条文に「法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする」とあります。この「法律行為の要素に錯誤」というのが、以前の記事でもご説明申し上げた、要素の錯誤になります。つまり、条文から導き出される結論は「要素の錯誤であれば無効を主張できる」という事になります。

表意者の重大な過失とは

 ここで注意点がございます。民法95条の条文の「〜無効とする」の後にただし書きがあり「表意者に重大な過失があったときは〜無効を主張することができない」とあります。ちなみに、表意者というのは錯誤をした本人です。つまり、これはどういうことかと申しますと、要素の錯誤無効を主張できる。しかし、錯誤をした本人重大な過失(大きなミス)があった場合は無効を主張することができない、という意味です。例えば、ギターだと思ってベースを買ってしまった場合、楽器初心者だったなら無効を主張しやすくなるでしょう。なぜなら、初心者ならどっちがギターかベースか、すぐに区別のつかない人もいるはずです。つまり、本人(表意者)の重大な過失と認められづらくなるからです。ところが、これがギター歴40年のオヤジだったらどうですか。普通、それだけギターやってるオヤジなら、ギターとベースの区別ぐらいすぐにつくに決まっているでしょう。たとえ悪徳楽器店だったとしても騙されないでしょう。つまり、もしギター歴40年のオヤジがギターとベースを間違えて購入してしまった場合は、表意者(ギター歴40年のオヤジ)に重大な過失があると判断されやすくなり、錯誤の無効の主張が難しくなります。
 じゃあギター歴5年の兄ちゃんはどうなの?
 これも多分ダメですね(笑)。ただ、法律で明確に規定している訳ではないので、あくまで常識的な、客観的な判断になります。裁判になれば「社会通念上なんちゃらかんちゃら」とか言われるのでしょうか。ただもし、例えば、ギターと本当に見分けのつかないようなベースがあって、店員の説明が不十分であれば、その場合は重大な過失について、また違った判断になるかもしれません(まあ、そもそも試奏したのかとか、他にも考慮しなければならない要素は色々とありますが...)。
 そして、要素の錯誤の無効を主張するのは原則本人でなければなりません。

 とにかく、ここでまず、押さえておいて頂きたいことをまとめますと、
「要素の錯誤は無効を主張できる。そのとき、無効を主張するのはあくまで本人で、もし本人に大きなミスがあった場合は泣き寝入り」
ということです。
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錯誤の超基本

動機

効果意思

表示意思

表示行為

 上記が意思表示の形成過程です(これについて詳しくはこちらをご覧下さい)。
 さて、ではこの意思表示の形成過程に不備があった場合は、一体どうなるのでしょう?
 皆さんも普段の買い物の中で、間違えて、本来買おうしていた物とは違う物を買ってしまった事、ありますよね。 それは民法的に言うと「効果意思と表示行為に食い違いがある」ということになります。 効果意思というのは「よし、これ買おう」という心の中の決断で、表示行為というのは「これ買います」という購入の申し込みです。 つまり、本来買おうとしていた物とは違う物を買ってしまったというのは、心の中の決断行為一致していないのです。Aさんに告白しようと思って、Bさんに「付き合って下さい」と言うようなもんです(笑)。このような効果意思と表示行為の不一致、ざっくり言えば勘違いを錯誤と言います。

錯誤は2種類存在する

 錯誤には、要素の錯誤と動機の錯誤の2種類が存在します。

要素の錯誤とは

 これは「ギターを買おうと思ってベースを買ってしまった」というような場合です。つまり意思行為食い違いがある錯誤です。

動機の錯誤とは

 これは文字通り、意思表示の形成過程における動機の部分の話で、買おうと思った理由による錯誤です。といってもこれではよく分からないですよね。以下に具体例を挙げてご説明いたします。

(動機の錯誤の例)
 不動産を購入しようと考えている人がいました。そして、その人はある土地に目を付けました。というのは、どうやら「その土地の近くに新しく駅ができる」という噂を嗅ぎつけたからです。そして、その人はその噂を信じ土地を購入しました。将来の土地の価値の増大を期待できるからです。しかし、その後、その噂はガセだったようで駅はできませんでした。当然その土地の価値もたいして変わりません。この人の土地を購入した動機は、近くに駅ができるから土地の値段が上がる!というものです。でも実際には駅などはできず、土地の値段も上がりませんでした...。

 これが動機の錯誤です。つまり、買おうと思った理由が間違っていた場合です。要素の錯誤は、思った事と行為が食い違っているのに対し、動機の錯誤は、思った事と行為は噛み合っていても、思った事、その理由が間違っていた場合です。両者の違い、おわかりになりましたかね?
 その違いが一体なんになるんだ!
 はい。実はこの違いがとても重要なのです。というのは、後々に錯誤を理由に契約の無効を主張できるか否かという問題に直結するからです。買った側からすると、間違って買ってしまったのにもうどうにもできない、なんていう事態は困りますよね。一方、売った側からすれば、なんでもかんでも後になって無効を主張されても困ります。
 という訳で次回、錯誤による無効の可否について、解説して参りたいと思います。
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意思表示の超基本 意思表示の形成過程

 今回は意思表示です。ちなみに「意志」ではなく「意思」です。ご注意下さい。

意思表示とは何なのか

 以前の記事でも、諾成契約についてのご説明をいたしましたが、諾成契約は、例えば、売買契約の場合「買います」という申し込みに対し「売ります」という承諾をした時、契約が成立します。このときの「申し込み」「承諾」、つまり「買います」と「売ります」が、意思表示です。つまり、諾成契約を民法的に説明すると、「当事者同士の意思表示により成立する契約」ということになります。
 意思表示が何なのかは、お分かりになりましたよね。ではここから、意思表示の形成過程を見て参ります。

動機

効果意思

表示意思

表示行為

 なんだか、まるで心理学みたいですが(笑)、順番にご説明して参ります。
 まず動機ですが、これは売買であれば「買う理由」です。美味しそうだな〜とか、安いからとか、カワイイからとか、動機という言葉の通りです。
 次の効果意思は「よし、買おう」です。つまり「頭・心の中の決断」です。
 その次の表示意思は「買おうと言おう」です。つまり「決断を表に示す意思」です。
 最後の表示行為は「これ買います!」です。これは説明不要ですね。「購入の申し込みの表明」です。
 以上が、意思表示の形成過程になります。

なぜこんな話が民法に必要なのか?

 それこそ本当に、心理学の講義みたいですもんね。しかし、これが実はとても重要なのです。なぜなら、意思表示があって初めて契約というものが成立するからです。
 契約関係のトラブルは、いつの時代も絶えません。トラブルがあったときは、その契約内容と成立過程を検証しますよね。その「成立過程」こそ、まさに先述の「意思表示の形成過程」が含まれます。
 買いたいと思っていない物なんて買わないですよね?ではなぜ買ったのか?無理矢理買わされたのか?騙されたのか?あるいは勘違いか?買ってもいない物が突然送られてきて、いきなりお金を請求されても困りますよね?売る側からすれば、なんの理由もなしにいきなり返品されて「金返せ!」と言われても困りますよね?そうなると、「意思表示の形成過程」のどこかに不備があるのではないか?と、民法的な検証ができる訳です。
 尚、付け加えて申し上げておきますと、意思表示は「黙示のもの」でも、有効に扱われる場合があります。黙示の意思表示とは、実際言葉には出していないけれど「それって買うってことだよね・売るってことだよね」ということです。つまり、黙っていても意思表示が明らかだと認められればその契約は成立してしまう、という事です。ですので皆さん、断るときはハッキリと口に出して断りましょう。

 意思表示とその形成過程の意味、ご理解頂けましたでしょうか。
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民法改正・敷金関係(原状回復義務、特約など)

 今回は民法改正の中の敷金関係について触れて参りたいと思います。
 改正民法では、部屋を借りる際に必要となる敷金の原則返還のルールが明確化されるとのことです。従来の民法では敷金の返還についての明確なルールは存在しませんでした。これが今回の民法改正により、個別法である借地借家法ではなく一般法である民法で明記されることになる訳ですから、部屋を借りる側としてみれば有難いことでしょう。背景にはやはり敷金関係のトラブルが絶えない現状があるのだと思います。裁判の判例やガイドラインを基準になんとかここまでやってきたがもうそろそろ法律で明確化した方がよくね?となったのではないかと。

敷金と原状回復義務

 ところで、そもそも敷金と原状回復義務についてはお分かりになりますかね?敷金というのは部屋を借りるときに貸主に一旦預けるお金です。貸主は万が一借主の賃料の未払いや部屋の毀損などがあった場合は預かった敷金から差し引く事ができます。要は敷金は部屋を借りるための担保のようなものです。もちろん現実では敷金だけでは万が一の事態のための担保としては不十分なので、貸主としてはさらに借主に保証人を付けさせたり家賃保証会社と保証契約をさせたりしてより安全を確保します(敷金ゼロ!保証人不要!と謳った物件も存在しますが、それにはそれの理由があります。それについてはまた別の機会でお話しできれば)。
 原状回復義務というのは、借りた部屋を返す時、つまり引っ越し等で賃貸借契約を終わらせて部屋を出る時に部屋を元の状態(原状)に戻す義務のことです。現状ではなく原状です。なので元に戻す原状回復となるのです。原状回復については現在はガイドラインでかなり細かく決められています。昔はそのガイドラインすらおぼつかなく貸主側の不動産業者から相当無茶な請求をされるなんて事もありました。もちろん今でもそういう輩は存在しますし地方では都内よりもまだまだヤバイなんて話も聞きます。

原状回復義務は何もかも元に戻す義務ではない

 借主は原状回復義務を負います。それは改正民法でも変わりません。しかし、何もかも元に戻せ!というのは違います。先ほど原状回復とは元に戻すことだと申し上げましたが、物には経年劣化があります。人が年を取って老いていくように物も年を取って老いていきます。この自然な劣化を経年劣化といい、経年劣化による修繕は借主に負担する義務はありません。そして通常の使用の仕方による損耗(傷や汚れ)の負担は家賃に含まれていると考え、これも借主の負担の義務はありません。この通常の使用の仕方による損耗を通常損耗といいます。
 まとめますと、経年劣化と通常損耗による修繕の負担は借主の義務ではない、ということです。そこを改正民法では明確化しようとのことのようですね。もちろんあくまで経年劣化と通常損耗での話であって、あきらかにおかしな使い方で汚したり故意に傷つけたりルールを破ってやらかしたものに関しては当然のごとく借主が責任を負います。

補足・特約の存在

 実は現在のガイドライン上でも経年劣化と通常損耗は原則貸主負担となっています。実態はそうなっていないことが多々ありますが。それともうひとつ厄介なのが特約の存在です。特約で借主負担にしてしまっていることもしばしば見かけます。もちろんあまりに借主に不利な内容の特約は無効になりますが。もし機会がございましたら原状回復ガイドラインをご覧になってみて下さい。あれ?そうだったの?と思うこともあるかと思います。
 いずれにせよ今回の民法改正により、一般法である民法から、謂わば借りる側の保護のボトムアップがはかられることは間違いなさそうです。
 という訳で、今回も最後までお読み頂き有難うございます。

民法改正・時効関係

 今回は民法改正についての時効関係に触れ、時効についての簡単な解説をしたいと思います。
 今回の民法改正により業種ごとにバラバラだった時効になる期間が統一されます。そもそも従来の規定ではどのようにバラバラだったのでしょうか。まずはそこから見ていきましょう。

時効成立期間1年
飲食代金・宿泊代金・運送代金など

時効成立期間2年
塾の授業料・弁護士報酬など

時効成立期間3年
建築工事の代金・診療代金など

 このような感じで、各種債権ごとに時効となる期間がバラバラでした。このバラバラだった時効期間が改正民法では原則5年に統一されます。正確に申し上げると「請求できると知った時から5年」です。つまり請求できると知った時が時効期間の起算点になります。
 じゃあ10年経ってから請求できることを知ったらそこから5年ってこと?
 違います。ここで時効についての基本的な部分をご説明いたしましょう。

ふたつの時効と除斥期間

 時効には2種類ございます。それは取得時効消滅時効です。ひとつひとつご説明いたします。
 まず取得時効ですが、例えば道で物を拾ったとしますよね。いつまでも持ち主が現れなかったらどうなるでしょう。拾った人の物になりますよね(もちろん拾った物にもよりますが、その辺りの細かい事はここでは省きます)。これが取得時効です。
 では消滅時効とはなんでしょう。これが今回の民法改正でお話申し上げている方の時効で、債権(請求できる権利)がどれくらい期間が経つと消滅してしまうかの時効です。
 ふたつの時効、お分かり頂けましたか?さらに時効にはもうひとつ重要な点がございます。それは所謂除斥期間です。これが先ほどの疑問に答える内容になります。
 今回の民法改正で時効期間、消滅時効の期間が「請求できると知った時から5年」に原則統一されます。実は民法には「請求できると知った時から◯年」という消滅時効に、そもそもいつ請求できると知ろうが10年経ってしまったら権利が消滅してしまうという規定がございます(10年以外のものもありますが、それらについては別途解説します)。これがいわゆる除斥期間と呼ばれているものです。つまり、10年経ってから請求できることを知り消滅時効はそこから5年、というのはありえません。10年経ってしまったらそもそも権利が消滅してしまいます。

時効という規定の存在理由

 てゆーか、そもそも時効って制度自体おかしくね?払わない方が悪いのに一定の時間が経つともう払わなくてもいい訳でしょ?ごもっともです。ただ民法では、いつまでも請求できる権利を宙ぶらりんのままで有効のままにしておくと法的安定性に欠けると考えます。だっていきなり30年前の事を持ち出されて金払えと言われたらどうしますか?困りますよね?そもそも覚えてなかったりするでしょうし…。こうなると世の中の秩序の安定も損なわれてしまう。だから時効というルールを作ってどうにかバランスを取っているのです。ちなみにこんな言葉もあります。

権利の上に眠る者は保護に値せず

 つまり権利があるなら権利がある者としての責任で権利を行使しろ!という事です。少し厳しく聞こえるかもしれませんが、これは何も民法に限らずこの社会を生きていく上で人間として当たり前の事ではないでしょうか。良し悪しだけではなく正当な権利を正当に行使するのは権利を持っている人間の責任でもあります。権利を行使しないのであればそれによって生じる現実をしっかりと受け入れるのもまた権利を持っている人間としての責任です。
 なんだか今回は偉そうに語ってしまいましたが(笑)、次回は民法改正の敷金関係について触れていきます。今回も最後までお読み頂き有難うございます。
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集中力を鍛える

 私はかつて宅建試験を迎えるにあたって、非常に気にしていた事がございます。それは、本番でしっかり集中できるか?です。
 今回は、集中力というものについて、私なりの考えを綴って参りたいと思います。 

当たり前だけど難しい。集中するということ

 宅建試験を受けるにあたり、テキストを読み込んで覚え、問題集を解いて理解を深め、いわゆるインプットとアウトプットを繰り返して学習を進めていきますよね。もちろん、私もそのようにやっておりました。しかし、私にはこんな疑問・懸念がございました。
 そもそも必ずしも万全な状態で試験に臨めるのか?
 自信を持つこと、ポジティブな気持ちで臨むことはとても良いことです。しかし、危機管理・リスクマネジメントの観点から見ると、それだけでは物足りないと私は考えます。宅建試験を受けるにあたりどんな脅威があるのか。それを洗い出し、様々な状況を想定し、それに対してしっかりと準備し、対策を講じた上で自信を持って臨む、これが本当の意味でのポジティブだと私は考えます。京セラの創業者もこんな事を言っていました。「悲観的に計画し楽観的に実行する」と。
 あれ?集中力についての話は?
 はい。もう少々お待ちください(笑)。
 試験を受けるにあたり、潜在する脅威とは一体どんなものがあるでしょう?

・寝坊する
・体調を崩す
・電車に乗り遅れる
・電車遅延
・筆記用具、時計などを忘れる
・試験中筆記用具を落っことす
・試験会場内がやたら暑いor寒い
・前後or左右の人がやたら落ち着きがない
・前後or左右の人の体臭がキツイ(笑)
...etc

 他にも「受験票を忘れる」「会場を間違える」といった、そもそも受験できないようなミスもありますが、そこまでのものはさておいて、上記に挙げたものは、それぞれに対策はあります。ただ、実は私が今回申し上げたいのは、そういう細かい対策の話ではございません。
 ということで、ここでやっと、今回のテーマである集中力の話に戻ります。回りくどくて申し訳ございません(笑)。回りくどい男はキライよ!と女性陣にお叱りを受けそうです(笑)。
 話を戻すと、先述の潜在する様々な脅威のいずれにしても、共通して言えるのは、集中をそがれるということです。そして集中をそがれ本来の実力が発揮できずあえなく惨敗、なんて笑えません。そもそも、人間は意外なほど簡単に集中をそがれるものです。しっかり集中するというのは、当たり前のことのように思えて、実は中々難しいことなんですよね。そこで、私はどんな状況でもしっかりと集中できるようになれるためのトレーニングを行いました。といっても、そこまで大したものでもないのですが(笑)。
 
集中する癖をつける

 私が行ったことは、様々な状況で勉強することです。具体的にご説明申し上げると

・マックなどに行って席が狭かったり周りがうるさい中でもしっかり集中して勉強する
・混んでいる電車内で立っている状況でもしっかり集中して勉強する
・朝のホームで眠たい目をこすりながら電車を待っている状況で民法の問題を解く
※周りに迷惑をかけず安全に行うことが前提(笑)

といった感じです。マジで大したことではないですね(笑)。しかし、今回ご説明申し上げた内容の意味を持って行うと、その効果は中々のもんです。実際、私はこの訓練によって集中力を鍛えられましたし、集中しようと思ったときに集中する癖がつきました。これは後々に、より難易度の高い行政書士試験を受ける時、さらには仕事にも日常にも、非常にプラス効果がありました。より時間を有効的に使えるようにもなりました。ですので、カフェや電車で勉強しようとするときに、周りがうるさかったり近くにウザイ人がいるような場合は、「いかなる状況にも負けない集中力を鍛えるチャンスだ!」と思ってありがたく受け止めて下さい(笑)。
 
 以前の記事で私は、全ての勉強に意味を持って行って下さい、と申し上げたと思います。その意味が、今回の内容からもおわかりになるのではないでしょうか。
 時間は有限です。少年老いやすく学成り難し。限られた時間を意味を持って有効に使いましょう。 
 

宅建試験対策~効果的な学習をしよう~

 宅建試験経験者で現在行政書士の私が、宅建試験の対策について解説して参りたいと思います。
 
 私は独学で宅建試験に一発合格しました。会社に勤めながら有休も一日も取らずに。
 私は不動産業種の経験も全くなく、法学とも全く無縁の人間でしたが、独学で宅建試験に一発合格しました。これは自慢でもなんでもなく、ただの事実です。何を言いたいかというと、要はやり方次第だということです。
 宅建試験の勉強は、とにかく過去問を解けと言われます。それはそのとおりです。なぜなら、宅建試験に出題される問題は過去問を踏まえた内容だからです。極端な話、過去問を一通り暗記できれば受かります。それぐらい宅建試験にとって過去問は重要です。ですが、実際、過去問を全て暗記するなど、ほとんどの方は不可能だと思います。それは何も能力的なことだけではなく、単純にそこまで時間的な余裕がある人なんてそういないでしょう。むしろ、社会人で限られた時間の中で勉強されている人の方が多いかと思います。ですので、大事なのはポイントを絞った学習方法になります。それは直前になればなるほどです。そこで、かつて自分が行った方法を簡単にご紹介します。

ポイントを絞った学習方法とは
 
 宅建の過去問集といっても様々なものがあると思いますが、私が使ったものはLECの「出る順ウォーク問過去問題集」です。

 そして、このテキストを使って私が問題を解く以外にやったことは、宅建試験の過去数年の出題傾向の分析です。
 LECの「出る順ウォーク問過去問題集」には、問題と解答以外に、過去数年の出題傾向のデータが記載されています。そして、それと連動する形で各問題に重要度が付されています。これらを使って、私はその年の試験の出題予想を立てました。さらに、それに加え別冊の予想問題集

と模試の内容も照らし合わせて、予想ポイントを修正し深めました。そして、私はこんな感じでレベル分けをしました、

◎最重要。絶対にやっておかなくてはならないもの
○重要。是非押さえておきたいところ
△できればやっておきたいが最悪ある程度は捨てる
×捨てる

 例えばこうです。(あくまで例です)

・不動産賃貸借◎
・代理〇
・委任×
・根抵当△

 上記は民法、権利関係の分野になりますが、これを業法、法令上の制限などの他科目でも行います。そして、このレベル分けに従った配分で勉強します。
 予想がハズレたら?
 はい。アウトです(笑)。というのは冗談で、それについては予想の幅(予想の範囲)をある程度もたせる(広げる)ことで、横文字を使うとバッファをきかせることで対応しています。
 どの程度予想の幅をもたせるといいの?
 これは、各自の学習状況により異なりますので一概には言えません。試験日まであまり時間がないというのであれば、それなりに絞る必要がありますし、まだ1年あるというのであれば、始めはむしろまんべんなくやった方がいいかもしれません。それでも強引に結論を出すなら、曖昧な言い方ですが、広げすぎず狭すぎず、ぐらいがベストだと思います。
 そしてある程度の予想を立てた上で、各々の得意分野不得意分野を勘案して調整しながら勉強を進めていきます。

より効果的で合理的な学習
 
 さて、ここで今一度、そもそも論に立ち返りますが、そもそも何のために予想を立てるのか?これは一言で申し上げると、効果的な学習を行うためです。
 効果的な学習って?
 効果的な学習とは、できるだけ無駄を省いた合理的な学習です。無駄を省いた合理的な学習とは、やるべきことをやりやらなくてもいいことはやらずに時間を有効に使う学習です。
 ここまでご説明申し上げてきたことを簡単にまとめますと「過去問と過去の出題傾向の分析をしある程度の予想を立てポイントを絞った上で勉強をする」これが大事だということです。

重要度のレベル分けの重要性

 補足ですが、先ほど、出題予想を立て重要度のレベル分けをする話をしました。これが実は、直前期に効果を発揮します。どうしてかというと、試験日本番が迫り時間がなくなってきたときに、どれをどの程度やり且つどれは捨てるのかというのが明確になるからです。これは少なくとも私の場合は、非常に効果を発揮しました。中々しっかりと勉強時間が取れない人は多いと思います。私もそうでした。迷っている時間もないんです。ですので、より合理的で効果的な学習方法を行う必要があり、今回の内容を考え実践するに至ったという訳です。
 
 という訳で、最後までお読み頂き有難うございます。宅建試験については、まだ書ききれていないことが多々ございますので、あと数回記事を書きます。よろしければ、また次回も宜しくお願いいたします。
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行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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