共有の基本 持分権の法的性質

 1つの物を、1人ではなく複数人で所有することを共有といいます。
 共有でよくあるパターンとしては、相続人が複数いる場合の相続があります。例えば、親が亡くなって、親所有の土地を子供達が相続すると、その土地は子供達の共有物になります。相続以外にも、夫婦でそれぞれ1000万円ずつ出し合って家を買えば、その家(不動産)は夫婦の共有物になります。

 物に対する権利である物権の世界では、一物一権主義というものがあります。一つの物には一つの物権という原則です(排他的支配権)。そして共有は、その一物一権主義の例外とも言われます。なぜなら、一つの物を複数人で共有するからです。ただ、共有の場合でも、共有者はそれぞれ持分権というものがあり、各持ち分に対しては一つの持分権しか存在しません。そして、持分権は各自で自由に処分できます。例えば、一つの土地をAとBが相続すると、その土地はAとBの共有物になり、AとBはそれぞれ各持ち分に対して持分権を持ちます。このとき、Aが自分の持ち分を売ったりするのは自由です。もちろん、Bが自分の持ち分を売ったりするのも自由です。ただし、AがBの持ち分を売ったりすることはできません。ということなので、持分権は、各持ち分に対しては、所有権と同じようなものなのです。そう考えていくと、共有も、一物一権主義にしっかりと則っていると言えます。

持分権

 共有について考える場合は、共有物全体の問題なのか、各持分権の問題なのか、そこを見極めた上で考えていかないと、よく分からなくなってしまいます。ですので、共有物全体についてと各持分権についてとを分けた上で、今回は持分権の問題について考えて参ります。
 さて、先ほど持分権は、各持ち分については所有権と同じようなものだとご説明いたしました。実際、共有持分権の法的性質は所有権である、と説明されます。その共有持分権の法的性質を表す典型例で、かつ現実にもよくあるのは、分譲マンションです。

分譲マンションの性質を考えれば共有持分権の法的性質が分かる

 おそらく、日常的にもっとも起こっている共有のケースは分譲マンションでしょう。分譲マンションでの所有は区分所有とも言われ、その所有権は区分所有権とも言われます。分譲マンションにおいてその建物の各区分は、それぞれ別の所有者が存在し、そこには個々独立の所有権が成立しています(一つのマンションに複数の所有権が独立しながら存在、つまり、一つのマンションに複数のオーナーが存在する)。
 では何を共有しているのか?
 分譲マンションにおいて、共有になっているのは土地です。土地というのは、そのマンションが建っている敷地です。つまり、ある土地に分譲マンションが建っていて、そのマンションが100の専有部分(わかりやすく言えば100戸)に分かれていれば、その土地には100の持分権が存在することになります。もしあなたがその分譲マンションのオーナーだったとすると、通常の場合、あなたが所有しているのは、そのマンションの所有権(区分所有権)と、その土地の100分の1の持分権です。そして、あなたがそのマンション(所有権)を誰かに売るのは自由ですよね。そして、あなたがそのマンション(所有権)を誰かに売れば、当然それに伴ってその持分権も一緒に売られることになりますが、その際、他の99人のオーナーの承諾はいらないですよね。
 これが「共有持分権の法的性質は所有権」の具体例と説明になります。共有持分権の法的性質、これでおわかりになって頂けたかと思います。

 次回、共有物全体の問題について、解説して参りたいと存じます。
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共有物全体について 使用方法・変更・管理

 共有の問題について考えるときは、各共有者の持分権についての問題なのか、共有物全体についての問題なのか、それを見極めた上で、考えていかないとよく分からなくなってしまいます。ですので、持分権の問題と共有物全体の問題とに分けて、ご説明して参りたいと存じます。
 今回は、共有物全体の問題「共有物の使用方法・変更・管理」について、解説して参ります(持分権についてはこちらの記事をご覧下さい)。

共有物の使用

 例えば、1台の車をA・B・Cの3人で共有しているとします。そしてA・B・Cの持ち分はそれぞれ3分の1ずつです。この場合、3人の共有物である車の使用方法は一体どうなるのでしょうか?

(共有物の使用)
民法249条
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

 共有物の使用について、民法では上記のような規定を置いています。しかし、どうでしょう。正直これだとよくわからないですよね。まさか、車(共有物)を使用するときは常に「ABC3人一緒に仲良くドライブ♫」という訳にもいかないでしょう。
 結局、車(共有物)の使用方法はどうなる?
 これについては、結局、A・B・Cの3人の協議で決めることになります。したがって、共有物の使用方法については一概には言えず、協議による決定内容によって変わってきます。

共有物の変更

 つづいて、共有物の車全部を第三者に売る場合について考えて参ります。
 これについて、民法では下記の規定を置いています。

(共有物の変更)
民法251条
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。

「変更」という言葉がわかりづらいと思いますが、共有物の売買は、共有物の「変更」にあたります(農地転用などの地目変更もこの「変更」に含まれます)。したがって、共有物の車の売買は、民法251条の規定が適用されます。
 また、条文中の「他の共有者の同意を得なければ」というのは、共有者全員の意思表示が必要という意味です。
 ということなので、3人の共有物である車全部を売る場合は、ABC3人全員の「売る」という意思表示が必要になります。3人全員が売るという意思を示さない限りは、売ることはできません。

共有物の管理

 つづいては、共有物の車を第三者に賃貸する場合について、考えて参ります。
 これについて、民法では下記の規定を置いています。

(共有物の管理)
民法252条
共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。

 条文中の「管理」という言葉には、共有物の賃貸も含まれます。ですので、共有物を賃貸するには、各共有者の持分の価格に従って、その過半数で決定するということです。株主総会の決議に似てますね。
 したがって、共有物の車を第三者に賃貸する場合は、ABCの持分はそれぞれ3分の1ずつですので、3人中2人の賛成で車の賃貸をすることが可能です。
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共有物の保存、解除権の不可分性の例外

 共有物を売る場合、共有者全員の意思表示か必要です(共有物の変更)。
 共有物を賃貸する場合、共有者の持分の価格に従い、その過半数の賛成が必要です(共有物の管理)。
(共有物の変更・管理についてはこちらの記事をご参照下さい)
 では、共有物が不法占拠されていた場合は、一体どうなるのでしょうか?

共有物の保存

 例えば、一台の車をA・B・Cの3人で共有していて、持ち分はそれぞれ3分の1だった場合に、その共有物である車が第三者に不法占拠されたとき、共有者の意思は、どのように決められるのでしょうか?

民法249条
保存行為は、各共有者がすることができる。

「保存行為」という言葉がピンと来づらいと思いますが、不法占拠されている物を取り戻すことは保存行為になります(ちなみに自動車の修理なども保存行為です)。
「各共有者がすることができる」というのは、各共有者が1人でできるという意味です。つまり、共有物が不法占拠された場合、各共有者がそれぞれ単独で、共有物全体についての返還請求権を行使することができます。
 従いまして、共有物の車が第三者に不法占拠された場合、ABCの3人は、それぞれが単独で、不法占拠者に対して返還請求をすることができます。

保存行為の補足
 尚、保存行為には次のようなものもあります。
・共有物への妨害排除請求
 例→共有地(土地)上の不法建築物の撤去請求など
・不法な登記名義の抹消
 例→すでに消滅した抵当権の抹消登記請求など

共有物の賃貸借契約の解除

 冒頭にも申し上げましたが、共有物の賃貸を行うには、各持分の価格に従い、その過半数の賛成が必要です。3人でそれぞれ3分の1ずつの持分で共有している共有物を賃貸するなら、2人以上の賛成が必要ということです。
 では、賃貸している共有物の賃貸借契約を解除する場合は、どうなるのでしょうか?
 共有物の賃貸借契約の解除は、民法252条(共有物の管理)に含まれます。つまり、共有物の賃貸借契約を解除する場合は、共有物を賃貸する場合と一緒で、各持分の価格に従い、その過半数の賛成が必要です。例えば、3人で持分3分の1ずつで不動産を共有していて、その不動産を賃貸している場合、その不動産の賃貸借契約を解除する際は、2人以上の賛成が必要ということです。

解除権の不可分性の例外

 本来、解除権は分けることができません(解除権の不可分性)。それは下記の条文で規定されています。

(解除権の不可分性)
民法544条
当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる。

 なぜ民法で、このように解除権の不可分性を定めているかの理由は、一部の者のみの解除を認めるとその後の法律関係が複雑になるので、その事態を避けるため、とされています。
 しかし、共有物の賃貸借契約の解除については、その例外なのです。この点は試験ではよく問われるものなので、資格試験等で民法の学習をされている方は、是非おさえておいて頂ければと存じます。
 くわえて、共有物を売却した後に、売買契約を解除する場合は、共有者全員の合意が必要になります。こちらは同じ解除でも、売買契約の解除なので「共有物の管理」ではなく「共有物の変更」に該当し、共有者全員の合意が必要になるということです。この点も併せておさえておいて頂ければと存じます。
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根本総合行政書士

Author:根本総合行政書士
根本総合行政書士です。
宜しくお願いします。

保有資格:
行政書士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、個人情報保護士、情報セキュリティマネジメント、マイナンバー実務検定1級

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